株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(1)市中で流行し医療機関や施設に持ち込まれてアウトブレイクしうる感染症─疫学的な基本事項[特集:病院・施設における感染症制御]

No.4981 (2019年10月12日発行) P.20

久保健児 (日本赤十字社和歌山医療センター感染症内科部副部長/救急科部)

登録日: 2019-10-15

最終更新日: 2019-10-09

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

市中で流行し医療機関や施設に持ち込まれてアウトブレイクしうる感染症の代表はインフルエンザであり,様々な疫学データがある。臨床現場では,診断,感染管理,治療の3つの場面で,疫学データが活用できる

診断では,検査前確率の見積もりのために,流行期間中のリアルタイム情報として薬局サーベイランスの日報を,また,季節はずれの疫学情報として沖縄や海外での流行情報が利用できる

感染管理では,地域の流行状況の把握のために,インフルエンザ定点の週報や学校サーベイランスの週報が有用である。また自施設内ではインフルエンザ様疾患(ILI)サーベイランスが必要である

治療では,将来の診療体制の見直しのために,病原体サーベイランスやインフルエンザ入院サーベイランス等が実施されている

1. 臨床現場における疫学の役割

疫学は,感染症のマネジメントには欠かせないものであり,疫学的原則に基づき実施されるサーベイランス(監視動向調査,疫学調査)とその解析が基本となる。質の高いサーベイランスは,臨床現場の意思決定に有用である。本稿では,代表的な感染症にインフルエンザを取り上げ,臨床現場でどのように疫学情報が利用されるか,基本的な事項を解説する。

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top