No.4978 (2019年09月21日発行) P.30
須田万勢 (諏訪中央病院総合診療科/リウマチ膠原病内科,聖路加国際病院リウマチ膠原病センター)
監修: 小林 只 (弘前大学医学部附属病院総合診療部)
登録日: 2019-09-20
最終更新日: 2019-09-18
〈あらすじ〉ある日,渡村リウマチクリニックに感染性大動脈炎で通院中の高齢男性が,腰痛を訴えて来院した。渡村は身体所見から筋膜性疼痛症候群(MPS)を疑ってハイドロリリースを施行。その意外な顛末とは?
今月は私のケースファイルから興味深い腰痛の症例を紹介しよう。
その日,感染性大動脈炎で1カ月前から抗菌薬治療をしている77歳の男性が私の定期外来にやってきた。心窩部痛で発症し当時は激痛があったが,抗菌薬投与(メロペネムとミノマイシンで4週間,その後ミノマイシン内服継続)のみで軽快し,1週間前の来院時は無症状であった。聞くと3日前の夜に急に右腰部に痛みが出たのだという。当院の理学療法士にも局所マッサージを含む理学療法で治療してもらったが,いっこうに良くならないそうだ。
詳しく病歴を取ってみると,患者データのようになる。