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肝臓癌・胆道癌・膵臓癌において,遺伝子パネル検査の役割は?

No.4976 (2019年09月07日発行) P.50

佐々木 隆 (がん研究会有明病院消化器センター肝胆膵内科医長)

上野 誠 (神奈川県立がんセンター消化器内科(肝胆膵)医長)

登録日: 2019-09-09

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  • 近年患者個々の遺伝子変異を調べて,その人に合わせた治療方針を決めるPrecision medicineが徐々に行われるようになっています。2019年にはわが国でも遺伝子パネル検査が導入される見通しとなっています。そこで,肝臓癌・胆道癌・膵臓癌において,遺伝子パネル検査をどのように活用していったらよいでしょうか。神奈川県立がんセンタ-・上野 誠先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    佐々木 隆 がん研究会有明病院消化器センター 肝胆膵内科医長


    【回答】

    【遺伝子変異の検出率は10%と低率であるが,積極的な利用が勧められる】

    “Precision medicine”という言葉は,2015年の米国オバマ大統領が行った一般教書演説で使用され,その後,個別化医療を表す言葉として広く用いられています。従来,化学療法の治療効果や副作用を事前に予測することは難しく,すべての患者に画一的な治療が行われてきました。しかし,近年,がんが発現している遺伝子が明らかになり,また,その遺伝子を標的とする分子標的治療薬が種々,登場してきています。肺癌EML4-ALK遺伝子変異に対するクリゾチニブ,EGFR遺伝子変異に対するゲフィチニブなどがその代表です。がん遺伝子変異を網羅的に解析する遺伝子パネル検査が保険承認されました。今後,肝胆膵癌の領域でも,多くの検査が行われることが予想されます。

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