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C型肝炎,肝硬変の抗ウイルス治療における耐性変異の問題点と治療

No.4973 (2019年08月17日発行) P.58

小川 力 (高松赤十字病院消化器科副部長)

福西新弥 (大阪医科大学第2内科(消化器内科)准教授)

登録日: 2019-08-15

最終更新日: 2019-08-13

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  • ここ数年で数種類のC型肝炎,肝硬変に対する内服の抗ウイルス療法の新薬が認可されています。一方でY93H,P32delなどの耐性変異の問題点が報告されています。耐性変異の問題点,治療について,この分野で大変ご活躍されている大阪医科大学・福西新弥先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    小川 力 高松赤十字病院消化器科副部長


    【回答】

    【専門医が正しい判断をすることで,高い治癒率を獲得可能な時代となっている】

    C型肝炎ウイルスに対して2014年に,最初のインターフェロン(interferon:IFN)フリー治療薬であるダクラタスビル,アスナプレビルが上市され,経口薬を24週間内服するだけで,90%という高いウイルス学的著効(sustained virological response:SVR)率が得られるようになりました。この薬剤の問題点として挙げられたのが,両剤とも薬剤耐性変異があると効果が得られないことでした。

    2015年に2番目のIFNフリー治療薬としてレジパスビル・ソホスブビルが上市され,国内治験では100%のSVR率が報告されました。しかし,ダクラタスビルとアスナプレビルの併用療法で効果が得られなかった症例に複雑な薬剤耐性変異が発現し,レジパスビル・ソホスブビルも奏効しない症例が認められ,現在でも治癒に至らない症例があるという問題点が残りました。この結果に基づいて,2回目の治療前には薬剤耐性変異を測定し,適切な薬剤を選択するようになっています。

    2015年には3番目の治療薬であるオムビタスビル・パリタプレビル・リトナビルが上市され,Y93に変異のある症例では奏効率がやや低下することが報告されましたが,変異のない症例では高い奏効率が得られました。

    2016年には4番目の薬剤としてグラゾプレビル,エルバスビルが上市され,L31もしくはY93に変異のある症例では奏効率のやや低下を認めましたが,変異のない症例では高い奏効率が得られました。

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