予防接種、特に、国が提供する予防接種プログラムにおいては、有効性はもちろん安全性のサーベイランスが重要であることは言うまでもない。WHO(世界保健機関)西太平洋事務局は、2013年に予防接種安全性サーベイランスのガイドラインを示している1)。本稿ではこれに基づき、ワクチンと副反応の因果関係に関する適切な検証過程を示す。さらに、先に本誌に掲載されたヒト・パピローマ・ウイルス・ワクチン関連神経免疫異常症候群(Human papillomavirus vaccination associated with neuropathic syndrome:HANS)に関する考察2)が科学的根拠を欠いており、ワクチンの副反応としていることの不備を指摘する。仮説の提示は研究者の自由であるが、本来、世界的な予防接種プログラム推進における標準的手順に従い、副反応・有害事象ならびに因果関係の解明にあたるべきであろう。
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