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■NEWS “蘇生望まない”傷病者への対応、現段階で統一方針は示さず―消防庁作業部会

No.4968 (2019年07月13日発行) P.68

登録日: 2019-07-03

最終更新日: 2019-07-03

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総務省消防庁の「救急業務のあり方に関する検討会」の作業部会は3日、救急要請を受けて出動した救急隊が現場で傷病者の家族等から「本人は心肺蘇生を望んでいない」と伝えられる事案への対応を巡り、これまでの議論を整理した報告書案を了承した。

報告書では、救急現場の状況が千差万別であり、実態把握も現時点では十分でないとして、蘇生の中止・継続を判断する基準などは示さなかった。一方で、人生の最終段階における医療・ケアについて考えるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の重要性を指摘し、そうした取り組みの普及状況などを踏まえつつ、将来的な統一的な対応方針の策定につなげていく方向性を示した。

消防庁が昨年実施した調査によると、全国728消防本部のうち403本部(55%)で、家族等から“蘇生を望まない”との意思を伝えられた事案を2017年中に経験していた。332本部(46%)では、そうした事案への対応方針を定めていたが、その内容は①拒否の意思を伝えられても蘇生を継続しながら搬送する、②かかりつけ医等からの指示があれば蘇生を中止する―などと分かれているのが現状だ。“蘇生を望まない”事案の具体的な件数を集計していない消防本部も見受けられた。

報告書では今後、全国の消防本部において“蘇生を望まない”事案を集計し、メディカルコントロール協議会で在宅医療関係者も交えて事後検証を行うことを提言。知見の集積を進めるとともに、死の迎え方を巡る国民の意見やACPの普及状況も見ながら、「救急隊の対応の標準的な手順等について検討を進めていくべき」とした。

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