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切除可能境界(BR)膵癌の治療戦略について

No.4967 (2019年07月06日発行) P.50

岩田圭介 (岐阜県総合医療センター消化器内科胆膵内科部長)

佐々木 隆 (がん研究会有明病院消化器センター 肝・胆・膵内科医長)

登録日: 2019-07-03

最終更新日: 2019-07-02

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  • 膵癌は早期発見することで予後の改善が期待できますが,発見時には既に進行した症例が多く,遠隔転移は伴わなくとも「膵癌取扱い規約 第7版」における切除可能境界(borderline resectable:BR)に至ってしまっている症例は少なくありません。BR膵癌の患者に外科的治療を第一選択としても,その予後は非常に厳しいのが現状だと思われますが,どのような治療戦略が望ましいのでしょうか。
    がん研有明病院・佐々木 隆先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    岩田圭介 岐阜県総合医療センター消化器内科胆膵内科部長


    【回答】

    【手術先行では十分な治療成績が得られないため,術前治療が積極的に行われている】

    膵癌はいまだ早期発見が難しいがんではありますが,遠隔転移のない症例も多く存在します。従来は,腫瘍と血管との位置関係から外科的に切除可能と判断した膵癌は原則手術してきました。しかし,そのような膵癌の中にも手術成績が不良な集団がいることが明らかとなりました。結果として切除可能境界(BR)膵癌という分類が提唱されるようになり,世界中でどのような膵癌をBR膵癌とするか議論されてきました。わが国でも「膵癌取扱い規約 第7版」においてBR膵癌が定義されています。さらにinternational consensusという形で,anatomicalな因子だけでなく,CA19-9やリンパ節転移の有無といったbiologicalな因子やperformance status不良などのconditionalな因子を含めた新しいBR膵癌の分類も提唱されています。

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