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フリマ(フリーマーケット)アプリ売上金・ポイントは法的に保護されるか?

No.4956 (2019年04月20日発行) P.54

杉浦健二 (STORIA法律事務所 弁護士)

登録日: 2019-04-22

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スマートフォンのアプリを利用したフリーマーケット運営サイトの「メルカリ」で物品を売ると,代金はメルカリ内でポイントとして保留され,現金化するには手数料が発生します。しかし,同社の子会社が英国で10億円ほどの損失を出しました。このような投機の失敗で親会社が破産する場合も考えられます。銀行預金だと銀行が破綻した場合,法的にある程度の保障はあるようですが,メルカリのようなサイトで売上金をポイントとして預かる仕組みの場合には,売上金もしくはポイントに対する法的な保護はあるのでしょうか。

(鹿児島県 Y)


【回答】

【資金決済法により売上金で得たポイントについては一定の範囲で保護されているが,保護方法がサービスごとに異なるため,要注意】

株式会社メルカリが運営するフリマアプリであるメルカリ[https://www.mercari.com/jp/]は,売りたい商品を撮影して出品するだけで簡単に商品の販売ができるサービスです(以下では,2019年1月末日時点におけるメルカリの仕組みをもとに回答します)。

メルカリで売買が成立した場合,出品者は,売買で得た売上金を,売買成立後180日までの間,メルカリ内に保管しておくことができます。180日を超えた場合,登録済みの預金口座宛に自動的に売上金が振り込まれることになります。

では金融機関ではないメルカリが,出品者の売上金を預かったり,売上金を出品者に送金したりすることに問題はないのでしょうか。

メルカリのように,出品者から依頼を受けたサービス事業者が,購入者から出品者に代わって代金を受領して出品者に渡すサービスを「収納代行サービス」と言います。コンビニにおける公共料金の支払いも収納代行サービスのひとつです。収納代行サービスでは,サービス事業者はあくまで出品者に代わって売上金を受領しているだけなので,売上金を必要以上に保管しておくことはできません。

銀行以外の事業者が,顧客から依頼を受けて資金を移動するサービスを行う場合,「資金移動業者」として登録する必要があり,利用者を保護するために一定の供託金を預ける義務等が課されています(資金決済法)。しかし,収納代行サービスの事業者が,購入者から売買代金を期間制限なしに預かり続けることができるとなると,出品者に代わって収納を代行しているだけの収納代行サービスとはもはや言えなくなり,法が資金移動業者に対して供託金を預ける義務を課して利用者の保護を図ろうとした観点から適当でなく,また出資法上の預り金規制にも反する恐れが生じます。そのため,メルカリでは売買成立後180日の期間に限って,出品者の売上金を預かることができるものとし,180日を超えた場合は自動的に売上金が振り込まれることとなっています。

なお出品者は,売上金を自分の口座に振り込ませる代わりにポイントに替えることもできます。このポイントは「前払式支払手段」と呼ばれ,メルカリのようなサービス事業者は,一定時期にポイントの未使用残高が1000万円を超えたときは,その1/2以上の額に相当する額を供託する義務を課されています。このようにして,ポイントについては一定の範囲で法的な保護がなされています。

なおメルカリは,2019年2月より,資金移動業者である株式会社メルペイに売上金とメルカリポイントの管理を移管する等してサービスの大幅リニューアルを行っています。売上金とポイントがどのようにして守られるのかはサービスごとに異なりますので,利用者はサービス案内や利用規約によく目を通して利用するようにしましょう。

【回答者】

杉浦健二 STORIA法律事務所 弁護士

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