乾癬性関節炎(PsA)は,皮膚乾癬に伴ってみられる慢性炎症性関節疾患であり,脊椎関節炎の一疾患である
末梢関節炎,腱付着部炎,指趾炎,体軸性病変などがみられるが,出現する症状は患者によって異なる
付着部炎は本疾患の中心的な病態であり,遺伝的素因や物理的刺激などが関連して,プロスタグランジンE2などによる血管新生,自然免疫系の活性化,TNF,IL-23,IL-17,IL-22などのサイトカインによる炎症,骨破壊や局所の間葉系細胞活性化を介した骨新生をきたす
早期からの治療介入がPsAの予後を改善することが知られている
乾癬性関節炎(psoriatic arthritis:PsA)は,炎症性角化症である皮膚乾癬患者の15%程度に発症する免疫介在性の慢性炎症性疾患であり,脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)の中の一疾患である。
SpAとは,仙腸関節や脊椎などの体軸性脊椎関節炎(axial SpA),下肢などに多い末梢性関節炎,腱付着部炎,ぶどう膜炎や炎症性腸疾患などの関節外症状が共通してみられる疾患群で,そのうちPsAは末梢病変が優位にみられる末梢性脊椎関節炎の代表疾患である(図1)1)。
PsAは,アキレス腱などの腱付着部炎(enthesitis),指趾炎(dactylitis),体軸性関節炎をしばしば呈し,その臨床像は患者によって異なり不均一である。これらのうち,腱や靱帯が骨に入り込む部位である付着部の炎症は,本疾患およびSpAに共通する主要な病態と考えられている。PsAのスペクトラムは広く(図2),これら関節症状,関節外症状に加え,メタボリック症候群,肥満症,さらには心血管病変などの合併頻度が高いことが知られ,生命予後にも関連する。乾癬に性差はなく,国内の乾癬患者数は50~60万人(有病率0.4~0.5%,欧米では2~3%)とされ,そのうちの15%程度がPsAを発症すると考えられている2)。PsAは最近,その病態が明らかになりつつあり,新規の治療薬の開発も盛んに行われている。