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DAAsで大きく変化したC型肝炎の診療

今 一義 (順天堂大学消化器内科准教授)

池嶋健一 (順天堂大学消化器内科教授)

永原章仁 (順天堂大学消化器内科教授)

登録日: 2019-03-14

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【C型肝炎は「治る病気」の時代へ,その一方で治療後のフォローが今後の課題】

2014年以降,直接作用型抗ウイルス薬の組み合わせ(DAAs)によるC型肝炎治療が広く行われるようになり,これまで計6種類のDAAs療法が認可されている。

17年9月には,C型肝炎ウイルス(HCV)のすべての遺伝子型に用いられるパンジェノ型のDAAsが承認され,慢性肝炎であれば,8週間の内服で治療を完遂できるようになった(代償期肝硬変の患者は12週間投与)。パンジェノタイプのDAAs療法はジェノタイプ1型で99%以上の奏効率を示し,DAAs療法で治療効果が落ちる傾向にあったジェノタイプ2型のHCVに対しても,リバビリンの併用なしで98%弱というきわめて高い奏効率を報告している。DAAsの副作用はインターフェロンより格段に少なく,多剤耐性ウイルス,併用薬の問題,非代償期の肝硬変患者に対する治療といった課題は残っているものの,HCVの排除という目標はほぼ達成されたといっても過言ではない。

一方,HCV排除後の経過観察については問題が残っている。慢性肝炎によって生じた肝線維化はHCV排除後も正常肝に戻らず,肝発癌のリスクが治療後10~15年間は残存し,治療完遂後も長期間にわたる経過観察が必要である1)。現在,HCV排除後の肝発癌高リスク群の囲い込み,肝線維化の軽減や発がん予防に関連した研究が盛んに行われている。

【文献】

1) Nagaoki Y, et al:J Gastroenterol Hepatol. 2016; 31(5):1009-15.

【解説】

今 一義*1,池嶋健一*2,永原章仁*2  順天堂大学消化器内科 *1准教授 *2教授

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