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関節リウマチ(RA)における患者コスト削減のノウハウ

No.4950 (2019年03月09日発行) P.55

伊藤 聡 (新潟県立リウマチセンター副院長)

登録日: 2019-03-07

最終更新日: 2019-03-05

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【今後はバイオシミラー製剤に期待が持たれ,ジェネリック医薬品も推奨したい】

関節リウマチ(RA)ではメトトレキサート(MTX)を中心とした従来型経口抗リウマチ薬(csDMARDs),生物学的製剤(bDMARDs)の導入で,疾患活動性が劇的に改善した。しかしbDMARDsは高価であり,いつまで継続するかは患者にとっても国の医療費という観点からも重大な問題である。TNF阻害薬の減量・中止(バイオフリー:BF)に関していくつかの報告があるが,抗体製剤ではインフリキシマブ(IFX),アダリムマブ(ADA)などの,Fc領域があり細胞傷害性のある薬剤が高率にBFを達成している。TNFの可溶性受容体製剤であるエタネルセプト(ETN)やFc領域のない抗体製剤のセルトリズマブ ペゴル(CZP)は,発症早期からの使用以外はBFを達成しづらい1)。しかし,ETNでは低疾患活動性を得てからの減量が可能である1)

当院では,BF時に1剤csDMARDsを追加し良好な成績を上げている2)。病歴の長い患者でもBF達成が可能だが2),高率にBFを実現するには,早期からのbDMARDsの使用が望ましい1)。トシリズマブは,BFは達成しづらいが,スペーシングが可能であり,TNF阻害薬無効例でも医療費を下げることができる1)3)。今後はバイオシミラー製剤に期待が持たれ,実臨床での効果と安全性の確立が望まれる。また,ジェネリック医薬品で,効果と安全性が確立されたcsDMARDsを使用することも医療費削減につながるので推奨したい4)

【文献】

1) 伊藤 聡:臨床リウマチ. 2018;30(3):199-209.

2) Ito S, et al:Intern Med. 2019;58(4):511-9.

3) 伊藤 聡:中部リウマチ. 2016;46(1):5-7.

4) 伊藤 聡, 他:リウマチ科. 2017;57(1):118-28.

【解説】

伊藤 聡 新潟県立リウマチセンター副院長

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