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心不全と栄養療法 [今日から使える栄養療法の質を上げるケーススタディ(3)]

No.4789 (2016年02月06日発行) P.42

監修: 若林秀隆 (横浜市立大学附属 市民総合医療センター リハビリテーション科 診療講師)

小坂鎮太郎 (練馬光が丘病院総合診療科NST QIT(Quality Improvement Team))

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-27

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  • 【症例】 高血圧の既往があるADLの自立した66歳の女性
    【現病歴】 ‌50歳頃から血圧が高いことに気づいていたが放置していた。5年前に慢性咳嗽で近医受診した際に高血圧症の指摘を受けて2剤での内服加療を行っていたが家庭血圧は160/100mmHg程度とやや不良で経過していた。その頃から階段の昇降などの労作時に息切れを認め,下腿に浮腫を認めるようになっていた。ここ1年間で食欲低下を認めており,体重は1年前の46kgから,半年後には43kgに減少したが,来院時は50kgとむしろ増加していた。食事は高血圧を意識して,できるだけ塩分を制限するように心がけ,大好きな味噌汁も飲まないようにしていた。歩行速度は少し遅くなり,階段を上ると呼吸苦が悪化するため外来受診をした。転倒歴はなく,肺炎球菌ワクチンは未接種である。
    【既往歴】 61歳時に高血圧
    【内服薬】 アムロジピン10mg,トリクロルメチアジド2mg
    【アレルギー】 なし
    【社会歴】 ‌専業主婦,運動は特にしておらず外出は買い物に行く程度,夫と2人暮らしで,息子2人と娘が1人いて娘が比較的近くに住んでいる。喫煙歴なし,飲酒は機会飲酒,ADL/IADLは自立,居住環境:木造の2階建て一軒家,介護保険申請なし
    【身体所見】 ‌身長154cm,体重50kg,BMI 21,血圧164/96mmHg,脈拍88bpm・整,呼吸回数16回/分,SpO2 96%(室内気),体温36.6℃
    頭頸部:眼瞼結膜は桃白色,眼球結膜は黄染なし,頸静脈怒張なし,頸部リンパ節腫脹なし,腹部圧迫で肝頸静脈逆流(hepatojugular reflux)は陽性 胸部:呼吸音に左右差なし,cracklesなし 心血管:心音は整,S1・2亢進なし,S3(+)・S4(−),心雑音なし 四肢:軽度の圧痕浮腫,末梢は温かい 握力:右20kg,左16kg 認知機能:長谷川式認知症スケールで30/30点,老年期うつ病評価尺度(GDS15)にて0/15点,興味の減退や希死念慮は認めない
    【検査所見】 ‌白血球6300/μL,リンパ球1220/μL,Hb 12.4g/dL,Plt 24x104/μL,TP 7.0g/dL,Alb 3.4g/dL,AST 52IU/L,ALT 84IU/L,Na 130mEq/L,K 4.6mEq/L,Cl 96mEq/L,Mg 2.0mEq/L,P 2.8mg/dL,BUN 18mg/dL,Cr 1.32mg/dL(eGFR 31.8mL/分/1.73m2),CRP 0.8mg/dL,TSH 1.4μU/mL 尿検査:尿蛋白(−),尿潜血(−),尿中Na 16mEq/L,血漿アルドステロン濃度(PAC)/血漿レニン活性(PRA)>200 胸部X線写真:肺野に浸潤影なし,心胸郭比58%,肋骨横隔膜角は鋭角 心電図:特に異常を認めない 心臓超音波:EF62%,E/A<1,E/e’=12,asynergyなし,弁膜症なし

    今回のポイントは以下の3点である。

    ・慢性心不全患者の健康寿命を上げるための診療の質を理解する。
    ・心不全患者の低栄養・悪液質を早期発見して,栄養療法の原則に則りアプローチする。
    ・多職種でチェックリストを用いて連携することで心不全診療の質を向上させる。

    それでは前掲の症例について,①栄養療法の必要性のスクリーニングと5つの原則に従った初期評価,②治療方針とその内容,③必要栄養量・内容とその投与方法,④今後の栄養投与とリハビリテーション計画,そのほか必要なことを,多職種の目線で考えてみたい。

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