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【論点】一般医におけるqSOFAの有用性

No.4935 (2018年11月24日発行) P.24

梅村 穣 (大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター)

小倉裕司 (大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター准教授)

登録日: 2018-11-21

最終更新日: 2018-11-21

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Aを選びます。quick SOFA(qSOFA)は,呼吸回数,意識状態,収縮期血圧の3項目から構成された簡便な敗血症スクリーニングシステムですが,その有用性の評価はいまだ定まっていません。筆者らがqSOFAの観察研究を対象にメタ解析を行った結果,患者集団が重症に比べ,軽症でqSOFAの予後予測精度が高くなる傾向が示されました。多数の軽症患者の中から迅速に予後不良な重症患者を見わけることが求められる一般医にとって,qSOFAの有用性は高いと考えられます。

1 背景

"2016年,European Society of Intensive Care Medicine(ESICM)とSociety of Critical Care Medicine(SCCM)の特別委員会によって敗血症の新定義(Sepsis-3)が発表され,それに基づき診断のプロセスも従来の診断基準から大きく変更された1)。Sepsis-3では,Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアの推移を敗血症の診断基準に採用し,「感染症もしくは感染症の疑いがあり,SOFAスコアの合計点数が2点以上の急上昇を確認した」場合,敗血症と診断することが提唱された。しかし,SOFAスコアの算出には複数の血液検査指標が必要であり,診断の迅速性が損なわれることが危惧されたため,quick SOFA(qSOFA)と呼ばれる新たなスクリーニング基準が提唱された。

qSOFAは,呼吸回数(22回/分以上),意識状態の変容,収縮期血圧低下(100mmHg以下)の3項目から構成され,2項目以上を満たせばqSOFA陽性となる。qSOFAは簡便なスクリーニングシステムであるにもかかわらず,ESICM/SCCMの特別委員会が行った大規模観察研究では,ICU外の患者において驚くほど高い予後予測能(ROC曲線の曲線下面積=AUROC:0.81)を示した2)。Sepsis-3ではICU外の患者においてqSOFAが2項目以上陽性の場合には積極的に敗血症を疑い,臓器障害に関する検査,早期治療の開始,集中治療への紹介などを速やかに考慮する診断プロセスを推奨している(図1)。

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