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今後も酷暑がさらに進行すると予想される日本の夏の熱中症症例に対する集中治療の実際

No.4933 (2018年11月10日発行) P.58

三宅康史 (帝京大学医学部救急科教授/帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長)

横堀將司 (日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野准教授/日本医科大学付属病院高度救命救急センター)

登録日: 2018-11-07

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  • 過去最高の熱中症患者が発生した2018年の猛暑。2019年にはラグビーワールドカップ,2020年には東京オリンピック・パラリンピックも控えています。軽症患者は早期発見と応急処置,そして何より予防と暑熱順化など自己管理が重要ですが,重症熱中症患者の病態とそれに対する救命救急センターや集中治療室における最新の治療法について教えて下さい。
    日本医科大学・横堀將司先生にご回答をお願い致します。

    【質問者】

    三宅康史 帝京大学医学部救急科教授/帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長


    【回答】

    【わが国では冷水浸漬や蒸散法が一般的だが,近年,新しい冷却デバイスも登場している】

    重症熱中症は高体温による脱水,電解質異常のみならず,播種性血管内凝固症(disseminated intravascular coagulation:DIC)や感染症,多臓器不全,高次機能障害や小脳失調などの併発症や後遺症を惹起し,これらは患者転帰を大きく左右します。後遺症を発症した群とそうでなかった群を比較すると,後遺症発症群の38℃までの冷却時間は有意に長いことから1),重症熱中症に対しては,迅速な冷却,確実な体温管理と臓器障害の治療予防を中心とした集中治療が必須です。一方,近年では,集中治療分野における新しい治療デバイスの発達も目覚ましく,これらが熱中症治療のbreakthroughとなるか期待されており,これらの基礎的知識についても習熟しておく必要があります。

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