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IgG4関連疾患と多中心性キャッスルマン病の鑑別の重要性

No.4933 (2018年11月10日発行) P.53

佐々木貴紀 (慶應義塾大学リウマチ・膠原病内科)

登録日: 2018-11-08

最終更新日: 2018-11-06

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【病変の特徴は類似しているものの,治療が異なることから慎重な鑑別が求められる】

IgG4関連疾患は,腫瘤性病変,血清IgG4上昇,障害臓器のIgG4陽性リンパ形質細胞浸潤と線維化を特徴とする疾患である。近年IgG4関連疾患以外の疾患でも血清IgG4上昇やIgG4陽性リンパ形質細胞浸潤が報告されており,誤診が問題となっている。その代表的な疾患のひとつが多中心性キャッスルマン病である。多中心性キャッスルマン病はIL-6の分泌過剰によるリンパ増殖性疾患で,ポリクローナルな抗体産生と形質細胞分化が起き,血清IgG4上昇やIgG4陽性の形質細胞浸潤をきたす。治療はIgG4関連疾患がステロイドであるのに対し,多中心性キャッスルマン病はステロイドの効果が限定的でIL-6受容体抗体であるトシリズマブが奏効する。IgG4関連疾患,多中心性キャッスルマン病ともに,腫瘤性病変,血清IgG4上昇,病理所見でIgG4免疫染色陽性といった類似性を示すが,治療は異なることからIgG4関連疾患の診断基準1)の中でも鑑別の重要性が明記されている。

IgG4関連疾患と多中心性キャッスルマン病の鑑別方法は,臨床像の比較検討から,①血清CRP値,②アレルギー性疾患の有無,③血清IgA値,④障害臓器の分布,がこれら2疾患で異なることが示されており,①~④を組み合わせたアルゴリズムも提唱されている2)。血清IgG4が上昇していたり,病理所見でIgG4の免疫染色が陽性であった場合でも,慎重に鑑別することが肝要であると言える。

【文献】

1) Umehara H, et al:Mod Rheumatol. 2012;22(1): 21-30.

2) Sasaki T, et al:RMD Open. 2017;3(1):e000432.

【解説】

佐々木貴紀 慶應義塾大学リウマチ・膠原病内科

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