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A型肝炎患者が例年より増加傾向[臨床情報Casket]

No.4919 (2018年08月04日発行) P.16

登録日: 2018-08-02

最終更新日: 2018-08-01

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厚生労働省はこのほど、A型肝炎患者の報告数が例年より速いペースで増加しているとして、都道府県や関連学会等に注意喚起を求めた。
国立感染症研究所によると、2012年以降のA型肝炎の報告数は、2014年(433例)を除いて年間約100~300例で推移してきたが、今年は第24週までの報告数が417例に上り、都市部を中心に複数地域から患者の報告がみられる。今年(6月22日現在)の特徴としては、患者の年齢中央値が過去(2015〜17年)より低く、男性が約9割を占める。感染経路を過去と比べると、男性の性的接触による割合が顕著に高くなっている。

■症状消失後も1~2カ月は衛生管理を指導
A型肝炎は、感染症法上の4類感染症に指定されており、診断した場合は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない。
厚労省は、感染者を診療する際の留意点として、①感染経路として性的接触が疑われる場合にはHIV感染症等の他疾患も念頭に置く、②症状消失後約1~2カ月間はウイルスの排出が続くため、日常生活においても手洗い等の衛生管理の重要性を指導する、③曝露リスクが高い者(感染者の同居者やパートナー等)に対して予防接種に対応可能な医療機関等に関する情報提供を検討する―などを求めている。

■感染症学会、一般への周知には「特段の配慮を」
厚労省の協力依頼を受け、日本感染症学会は学会ホームページに、医療従事者から一般層に周知する際に併せて配慮を求める事項を掲載。注意喚起の方法によっては、性的接触で感染した者が必要な治療・支援にアクセスすることが困難にならないよう、「特段の配慮が求められる」としている。また、積極的疫学調査を実施する場合には、感染経路等の情報を得る際に本人の心理的負担にも配慮することが望ましいとした。

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