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関節リウマチ・膠原病疾患における足趾・手指の変形やそれに伴う潰瘍に対する治療方法【外用薬,装具を用いた除圧・固定,手術などを症状に応じて施行】

No.4915 (2018年07月07日発行) P.55

長谷川泰子 (神戸大学形成外科)

寺師浩人 (神戸大学形成外科教授)

登録日: 2018-07-09

最終更新日: 2018-11-28

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関節リウマチや膠原病疾患で足趾・手指が変形することは,よく知られている。関節リウマチ患者では,外反母趾・内反小趾・hammer toe(ハンマー足趾)・claw toe(鉤爪趾)変形がみられる。全身性強皮症や混合性結合組織病などは手指の屈曲拘縮を認める。関節が変形すると,疼痛や靴ずれによるびらん・水疱を形成する。また,荷重がかかりやすいため胼胝が発生する。外力を受けやすい関節部に深達性の潰瘍を生じることも少なくない。

末梢循環不全やステロイド,易感染性などの創傷治癒阻害因子を多数持つ関節リウマチや膠原病患者では,関節部の潰瘍が難治化する。足趾・手指の病変に対して,外用薬による局所治療だけでなく,靴やインソール(中敷き)といったフットウエアを適切なものにすることが重要である。医師と義肢装具士が患者の変形に応じた装具を作製することで,生じた潰瘍部位を除圧し保存的治療や再発予防を行っている。

手指の屈曲拘縮に伴う潰瘍に対しては指用アルフェンスシーネ固定1)やオーダーメードの装具2)を用いた関節の固定を行う。関節の安静によるずれ防止,背側皮膚軟部組織の除圧,さらなる屈曲変形予防が期待できる。そのほか,関節固定術やclaw toeに対する長趾屈筋腱切離術や移行術など,手術療法も症状に応じて適応される。

【文献】

1)芝岡美枝, 他:形成外科. 2008;51(3):340-3.

2) 牧口貴哉, 他:形成外科. 2013;56(12):1313-8.

【解説】

長谷川泰子*1,寺師浩人*2 *1神戸大学形成外科 *2同教授

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