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網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対する抗VEGF薬の硝子体注射【より早期の視力改善が期待できるようになった】

No.4911 (2018年06月09日発行) P.54

武田祐介 (山形大学眼科)

登録日: 2018-06-10

最終更新日: 2018-11-28

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網膜静脈閉塞症は,網膜静脈分枝閉塞症(BR VO)と網膜中心静脈閉塞症(CRVO)に分類され,治療のターゲットは「新生血管」と「黄斑浮腫」である。黄斑浮腫は視力障害に直接関与し,ごく軽度の場合から視力が0.1前後まで低下する場合まである。

従来の黄斑浮腫治療は,ステロイドの眼局所注射(硝子体注射,テノン囊下注射)や黄斑部への格子状光凝固であった。ステロイドの注射では眼圧上昇と白内障のリスクが,格子状光凝固では暗点のリスクがあった。

2010年から,抗VEGF薬の硝子体注射について米国で大規模研究が報告されてきた1)2)。これらの研究では,抗VEGF薬の毎月投与(硝子体注射)により,従来の治療よりも早期に視力改善が得られること,より早期に投与した群で視力改善効果が大きいことが示された。わが国では13年にラニビズマブとアフリベルセプトが認可された。

しかし,日常診療における抗VEGF薬の注射プロトコルは定まっていない。前述の大規模研究には視力良好例が含まれていないこと,稀ではあるが注射後に脳梗塞を生じうること,高額であること,などが主要な検討事項である。特にBRVOでは自然軽快例が多いため,慎重な判断が必要である。

【文献】

1) Campochiaro PA, et al:Ophthalmology. 2010; 117(6):1102-12.

2) Boyer D, et al:Ophthalmology. 2012;119(5): 1024-32.

【解説】

武田祐介 山形大学眼科

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