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カリウムイオンの濃度により心電図の再分極が起こるのはなぜか?【心筋細胞内からのK+流出による心室再分極の過程で心電図T波がみられる】

登録日: 2017.06.28 最終更新日: 2026.02.21

柳 圭子 (久留米大学医学部生理学講座統合自律機能部門准教授)

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カリウムイオン(K)の濃度によって心電図の再分極が起こると言われていますが,そのメカニズムはどのようなものでしょうか。

(高知県 F)


【回答】

細胞外カリウムイオン(K)濃度は,腎尿細管などの機能によって狭い範囲(3.5~5mEq/L)に保たれており,細胞内K濃度(約150mEq/L)の3%程度しかありません。したがって,心筋細胞膜のKチャネルが開くと,基本的にはこの濃度差によって,心筋細胞内から細胞外へKの流出が起きます。

ナトリウムイオン(Na)チャネルやカルシウムイオン(Ca2+)チャネルが閉じている状態でKチャネルが開くと,Kの流出によって細胞外で過剰となった正電荷と,細胞内に残され過剰となった負電荷は,コンデンサ(キャパシタ)の性質を持つ細胞膜(脂質二重層)の両側面に互いに引き合う形で蓄えられ,細胞膜の外側を基準とする内側の電位(膜電位)は負の値となります。このような状態を電気生理学的に「膜が分極している」と言います。

ヒトの1個の心筋細胞の静電容量はおよそ100~200pF〔ピコ(p)は10-12を示す〕であり,わずかな電荷の移動で大きな膜電位が発生します。Kの流出によって発生する負の膜電位は,静電的な力によって逆にKを細胞内へ引き込むように働くため,両者(濃度差と電位差)が釣り合うとKの正味の移動が起こらなくなります。このときの膜電位がKの平衡電位と言われるものであり,心室筋や心房筋の静止膜電位はNaチャネルやCa2+チャネルが閉じた状態でKチャネルが開口することによって,細胞内外Kの濃度差と釣り合う大きな負の値(約-90mV)に維持されます。


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