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【がん専門医の立場から】勝俣範之氏「がん患者は不安の塊、共感するスキルを身につけたい」[特集:医療不信患者への対処術~強まる逆風に、医師はどう立ち向かうべきか~]

登録日: 2017.02.24 最終更新日: 2026.02.21

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患者と一緒に考えるという
インフォームドコンセント本来の趣旨に立ち返る必要がある。

勝俣範之氏

〔略歴〕1963年山梨県生まれ。88年富山医薬大卒。92年より国立がんセンター中央病院、同病院医長を経て2011年10月日本医大武蔵小杉病院腫瘍内科教授



手術や抗がん剤など侵襲性の高いがん医療に対する不信感は根強い。医療不信に陥っているがん患者にがんのスペシャリストはどう接しているのか。近藤誠氏の“がん放置理論”を厳しく追及した勝俣範之氏にポイントを聞いた。

治療が怖いという患者心理が出発点

─医療不信に陥っている患者にどう対応しているのか。

大切なのは患者の思いを否定しないこと。患者が医療を否定するようなことを言ってくると、中には「何考えているんだ」と怒り出す医師もいる。まだそういう部分が医療側にはある。そもそも患者は医療を否定したいわけではない。怖いからつい逃げてしまう。これは誰にでもある患者心理。医療のプロとして患者の不安をまずは受け止めなくてはいけない。

実はこれは医師にとって高等技術。医学教育は長年患者の病気だけに焦点を当ててきた。本当は生身の人間である患者の感情に焦点を当てないといけないはず。10年くらい前から医学部で患者とのコミュニケーションを教えるようになった。これは大事なこと。医療不信に陥る背景に、「あの先生は病気に興味はあるけど私に興味はない」と感じられている状況がある。

─世間では「医師はがんを切りたがる」というのが通説になっているようだが。

日本ではがんの専門家の多くが外科医で、治療選択で手術の優先度が高い傾向にあることは否定できない。ただ、最先端のがん医療はチーム医療。内科医や放射線科医を含め皆で話し合い、方針を決める。そこで我々腫瘍内科医(⇒用語解説①)がチーム医療の核となり、患者の治療をナビゲートしていくことが重要になる。

腫瘍内科医の仕事というと、抗がん剤だけと医師にも誤解されている。内科医として、手術や抗がん剤、放射線、緩和ケアのどれがいいのか、患者を上手くナビゲートすることも求められている。患者は手術が終わっても再発や痛みで不安の塊。そこをフォローする医師が日本では不足している点も課題だ。


─腫瘍内科医が少ないのはなぜか。

主にがん診療連携拠点病院にいるがまだ全国で1000人程度。医学部にもしっかりとした腫瘍内科があるところは少ない。看板だけのケースも多く、講座がないので入局したくてもできない状況がある。腫瘍内科医がいなければ、中心は外科医になる。日本の8割以上はこのケース。再発した後も外科医が診ることになるが、再発転移の場合は抗がん剤がメインになる。抗がん剤の副作用による死亡率は手術死亡率より高い。コントロールする専門家が必要だ。


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