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アルコールと突然死 【アルコール性ケトアシドーシスや低血糖の関与も推定されている】

登録日: 2015.12.05 最終更新日: 2026.02.21

鈴木秀人 (東京都監察医務院) 福永龍繁 (東京都監察医務院院長)

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飲酒が直接あるいは間接的に関与した死をアルコール関連死と呼び,全突然死の約1割,中年男性に限れば突然死の約3割を占めるとされている(文献1)。内因死としては,過度の飲酒による肝硬変への進展による肝不全,門脈圧亢進症による食道静脈瘤破裂があるが,突然死例では形態的に脂肪肝のみしか確認できない事例がむしろ多く,アルコール性ケトアシドーシスや低血糖の関与が推定されている。そのほか膵臓病変(急性・慢性膵炎),アルコール性心筋症,感染症の併発などが挙げられる(文献2)。
一方,飲酒酩酊はあらゆる事故死の準備因子になりうる。多量飲酒による急性エタノール中毒のほかに,飲酒後入浴し溺水した事例,高所・階段からの転落事例,冬季に屋外で眠り込んでしまったために凍死した事例などが認められる。肝硬変による出血傾向を背景とした,軽度の頭部打撲による硬膜下血腫例もしばしば経験される。
アルコール関連死は男性,中高年層に多いことが最近の調査でも示されているが(文献3,4),上記のように病態は多彩である。突然死の予防には,飲酒による臓器病変の進行抑制のほかに,適切な日常生活指導が必須であると考えられる。

【文献】


1) 杠 岳文, 他:アルコール研と薬物依存. 1993;28(3):95-119.
2) 福永龍繁, 他:医のあゆみ. 2007;222(9):648-54.
3) 白鳥彩子, 他:日アルコール・薬物医会誌. 2014;49(3):177-87.
4) 鈴木秀人, 他:日アルコール・薬物医会誌. 2015;50(2):59-65.


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