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見落としのつけ [プラタナス]

登録日: 2016.09.08 最終更新日: 2026.02.21

和田康夫 (赤穂市民病院皮膚科部長)

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苦い思い出となった症例である。単に手垢がこびりついているだけのように見えるが、病名はノルウェー疥癬(角化型疥癬)である。私がこの症例を見落としていたため、病院内で疥癬の集団発生を招いた。罹患者は看護師、入院患者合わせて30人以上にも上り、感染の終息には3カ月ほどを要した。

いきさつは、こうである。午前中、外来をしていると、病棟から電話がかかってきた。入院患者の手に垢がついていて、洗っても洗ってもなかなかきれいにならないという。スキンケアについて良い方法がないかという相談だった。

午後、病棟に上がる。患者の手を見る。両手掌に角化がある。高齢者の手や足に角化を見た場合、ノルウェー疥癬の可能性を考える必要がある。もしやと思い、痂皮を採取し顕微鏡で覗いてみると、おびただしい数のヒゼンダニが見つかった。悪い予感は的中し、まさしくノルウェー疥癬であった。


ノルウェー疥癬は感染力がきわめて強い。この患者は入院してからすでに1カ月以上が経過していた。この間ずっとノルウェー疥癬を見過ごしていた。病院内で集団発生を起こしている可能性がある。居合わせた看護師を診察すると、5人が感染していた。また、同じ病棟の入院患者をスクリーニングすると、5人に感染していた。


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