検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

潰瘍に透かして見えた患者背景 [プラタナス]

登録日: 2016.09.08 最終更新日: 2026.02.21

井階友貴 (福井大学医学部地域プライマリケア講座講師 高浜町国民健康保険和田診療所)

お気に入りに登録する

Mさんは、10年前に事故で第12胸髄を損傷し、両下肢完全麻痺となった65歳の男性である。終日車椅子で過ごす不便な生活を続けているが、諸々の事情で家族は愛犬のみだった。日中ずっと坐位で過ごし、筋肉を収縮させることができないため、下肢の循環が悪く、慢性的にひどいむくみがあった。

あるとき、右外踝に皮膚潰瘍が発生した。通常なら数日から1~2週間で治るような小さな潰瘍だったが、なかなか寛解せず、増悪と軽快を繰り返した。


その間、Mさんは、ただでさえ不便の多い生活の上に、毎日の処置や頻回の受診、特殊な入浴方法など、さらに不便を強いられることとなってしまった。様々な処置や投薬を検討するも寛解しない潰瘍に、Mさんだけでなく私も悩まされていた。気がつけば2年が過ぎようとしていた。


1 2