虫刺症とは,蚊,ブユ,ノミ,ダニなどの節足動物による吸血や刺咬などによって生じる皮膚炎の総称である。病態は,皮膚に注入される虫由来の唾液腺物質や毒成分に対する刺激反応およびアレルギー反応から成る。アレルギー反応は,吸血や刺咬の直後から瘙痒を伴う膨疹,紅斑が出現して数時間以内に軽快する即時型反応と,1〜2日後に紅斑,丘疹,水疱や腫脹などを生じる遅延型反応の2つに大別される。実際の臨床像は,原因となる虫の種類だけでなく,個々の感作状態によっても大きく異なる。
▶診断のポイント
虫刺症は夏季を中心に診察機会が多い。患者自身が原因となる虫を目撃している場合には診断は容易であり,皮疹出現前の野外活動歴や居住環境などに関する問診も診断の助けとなる。皮疹としては,孤立性で不規則に分布する紅斑・丘疹が多い。蚊やブユなどの吸血に伴う皮疹は主として露出部にみられる一方,イエダニによる皮疹は体幹や大腿部など被覆部に出現しやすい。小児では強い遅延型反応を示すことが多く,刺された部位が著明に腫脹し,水疱を形成することもあり,後述する蜂窩織炎との鑑別が必要である。
