巨赤芽球性貧血は,DNA合成障害による無効造血を特徴とする大球性貧血であり,多くは好中球や血小板の減少を伴う。主な原因はビタミンB12欠乏,葉酸欠乏,銅欠乏であり,摂取不足,吸収障害(悪性貧血,胃・小腸切除後など),需要増大(妊娠,溶血性貧血,悪性腫瘍など),核酸代謝拮抗薬,先天性疾患などにより生じる。近年は亜鉛製剤や長期経腸・中心静脈栄養に伴う銅欠乏症が増加しており,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)との鑑別が重要である。
▶診断のポイント
網赤血球数増加を伴わない(8万/µL以下)大球性貧血〔平均赤血球容積(MCV)≧100fL〕を認めたら本疾患を疑い,血清ビタミンB12,葉酸,銅を測定する。MCVが正常でも鉄欠乏や慢性炎症を合併すると正球性となることがあり,本疾患を否定できない。赤血球粒度分布幅(RDW)高値は診断の助けとなる。経腸栄養や中心静脈栄養中でも,特に銅欠乏症は生じうる。
胃・小腸切除歴,飲酒歴,栄養状態を確認し,H₂受容体拮抗薬,プロトンポンプ阻害薬,メトホルミン,亜鉛製剤,抗癌剤,メトトレキサート,ミコフェノール酸,ヒドロキシウレア,アザチオプリン,抗痙攣薬,トリメトプリム,サラゾスルファピリジンなどの服薬歴を確認する。末梢血塗抹標本で過分葉好中球を確認する。
高度貧血にもかかわらず自覚症状に乏しい場合は,ビタミンB12欠乏による認知機能低下を考慮する。高度飲酒,低栄養,溶血性貧血を伴わない葉酸欠乏では,悪性腫瘍による葉酸利用亢進も鑑別する。悪性貧血では胃癌や自己免疫性疾患の合併も念頭に置く。
