筋強直現象(ミオトニア)は筋の強収縮後に弛緩が遅延する現象で,手を強く握った後に素早く開かない(把握ミオトニア),ハンマーで筋腹を叩くと持続的な筋収縮が生じる(叩打ミオトニア),筋電図で針の刺入時に興奮電位が持続的に発生する(ミオトニア放電)などがみられる。
ミオトニアをきたす疾患としては,進行性の筋力低下や多臓器障害を伴う筋強直性ジストロフィー(dystrophia myotonica:DM)と非ジストロフィー性ミオトニア症候群(non-dystrophic myotonia syndrome:NDMS)に大別され,後者にはCLCN1変異による先天性ミオトニア(congenital myotonia:CM;トムゼン病,ベッカー病),SCN4A変異による先天性パラミオトニア(paramyotonia congenita:PMC),Naチャネルミオトニア(potassium aggravated myotonia:PAM),高カリウム性周期性四肢麻痺(hyperkalemic periodic paralysis:hyperPP)などが含まれる。
これ以外に,ポンぺ病や甲状腺機能低下症,脂質異常症治療薬使用時などでもミオトニアがみられることがある。そのほか,ミオトニア放電を伴わない仮性ミオトニアは甲状腺機能低下症,stiff-person spectrum disorders,アイザックス症候群,ブロディ病などでもみられる。
▶診断のポイント
進行性の筋力低下を有する患者ではDM1型を検索する。NDMSでは麻痺発作の有無(hyperPP),反復運動(CMでは改善,PMCでは増悪)や寒冷刺激(PAM,hyperPPでは増悪)による変化,遺伝形式(ベッカー病は潜性遺伝,他は顕性遺伝)などが鑑別のヒントになる。臨床神経生理検査では刺入時のミオトニア放電,short/long exercise test,10Hz反復刺激試験などが重要だが,経験豊富な施設で行うことが望ましい。確定診断は遺伝学的検索でなされ,DM1型は複数の検査機関,NDMS(CLCN1,SCN4A)はかずさ遺伝子検査室において,保険診療での検索が可能である。DM2型はわが国では稀で,委託検査ができないため,専門機関への紹介が望ましい。
