放射線肺炎は,放射線治療によるDNA損傷やフリーラジカル産生により肺胞上皮細胞・血管内皮細胞が障害され,炎症性サイトカインを介したリンパ球・マクロファージ主体の炎症によって発症する1)。胸部放射線照射後1~6カ月以内に生じる急性期の放射線肺炎と,慢性期の放射線肺線維症に分類される。
有症状の放射線肺炎の発生率は,Ⅲ期非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer:NSCLC)の化学放射線療法で25~35%,限局型小細胞肺癌の化学放射線療法で20%,Ⅰ期NSCLCの定位放射線治療で10~15%,食道癌の化学放射線療法で5~10%,乳癌の術後放射線療法で1~5%であり,死亡率はⅢ期NSCLCで化学放射線療法を行った症例で1%程度である 2)。
発症リスクとして,V20(20Gy以上照射される正常肺容積の割合)や平均肺線量の増加,抗癌剤併用,高齢,低肺機能,既存の間質性肺炎が挙げられる。肺癌に対する放射線治療では,V20を40%未満(化学療法併用時は35%未満)に抑えることが推奨されている1)2)。
▶診断のポイント
放射線肺炎に特異的な症状や検査所見はなく,診断には胸部放射線治療歴と線量分布の確認が必須であり,感染症,薬剤性肺炎,肺塞栓症,心不全,原疾患の進行などの除外診断が重要である。胸部放射線照射後6カ月以内に,乾性咳嗽,発熱,労作時呼吸困難などが出現した場合は本疾患を疑うが,無症状の場合も少なくない。
胸部CTで放射線照射野に一致し,肺区域非依存性のすりガラス陰影や浸潤影がみられることが特徴であるが,強度変調放射線治療(IMRT)では,線量分布が複雑であり照射野との一致がわかりにくい場合がある。血液検査では,CRP,LDH,KL-6,SP-Dの上昇を認める。診断が困難な場合には気管支肺胞洗浄を検討する。
また,放射線肺炎改善後に抗癌剤投与を契機として再燃する照射想起肺炎(radiation recall pneumonitis:RRP)にも注意する。
