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脊髄血管障害[私の治療]

登録日: 2026.10.22 最終更新日: 2026.10.22

安藤哲朗 (亀田総合病院亀田脳神経センター脳神経内科部長)

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脊髄血管障害(vascular disorders of the spinal cord)の頻度は脳血管障害の2%以下である。急性脊髄障害の診断にはMRIが必須で,転移性脊椎腫瘍などの脊髄圧迫性疾患と出血性疾患を鑑別した後に脊髄梗塞の可能性を検討する。脊髄血管障害は突然発症の脊髄症として生じることが多い1)。脊髄硬膜動静脈瘻はうっ血性の脊髄障害を起こし,亜急性から慢性進行性の経過をとることが多い2)。

▶診断のポイント

【脊髄梗塞】

脊髄の前側が障害される前脊髄動脈症候群では,背部痛を伴って四肢麻痺もしくは対麻痺が突然発症する。発症12時間以内に症候が完成することが,脊髄炎との鑑別診断において重要である。早期からの膀胱直腸障害,解離性感覚障害(触覚は保たれるが,温痛覚が障害される)が特徴である。後脊髄動脈症候群は,深部感覚障害を呈し,病変の広がりにより運動麻痺も起こす。前脊髄動脈症候群,後脊髄動脈症候群いずれも,一側性の場合と両側性の場合とがある。MRIでは,拡散強調画像で高信号を,T2強調画像で高信号と軽度の脊髄腫脹を認めることがあるが,異状所見を認めない場合もある。

【脊髄出血】

髄内出血は疼痛を伴って強い対麻痺または四肢麻痺を起こすことが多いが,海綿状血管腫からの出血では比較的軽い症状の場合もある。MRIでは急性期には脊髄が腫大し,T2強調画像では低信号と高信号が混在する。数日後にはT1強調画像で高信号を示すようになる。gradient echo法によるT2*強調画像での低信号が診断に有用である。頸椎部の硬膜外出血では,急性発症の片麻痺を呈して脳梗塞と類似する場合がある。

【脊髄硬膜動静脈瘻】

下部胸髄から腰仙髄にかけての病変が多いが,10%程度は頸髄に起こる。両下肢のしびれ,運動麻痺,排尿障害が亜急性から慢性に進行する。初期には,歩行,運動,飲酒などによって症状が悪化し,休息により軽快する症状変動を認めることが少なくない2)。MRIでは,脊髄の上下に長い腫脹と脊髄の主に中心部にT2高信号を認める。くも膜下腔の異常血管が,flow voidとしてみられるか,造影されることが診断に重要である。確定診断には脊髄血管造影が必要である。


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