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【識者の眼】「母親の眼」町田詩織

登録日: 2026.10.19 最終更新日: 2026.10.19

町田詩織 (湘南藤沢徳洲会病院マーケティング課主任)

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Instagramの投稿を作成していて、新人看護師や研修医から、ときどき言われる言葉があります。

「親が喜びます」

ここで言う「親」の多くは、実感としては母親です。当院のInstagramは、求職者や職員本人だけではなく、そのご家族も見て下さっています。特に県外出身の新人職員からは、「親が喜んでいました」「親から連絡が来ました」と言われることが少なくありません。実際に、親御さんと思われる方から、「Instagramで、連絡が来ない娘の安否確認をしています」という趣旨のDMを頂いたこともあります。

当院のSNSは、採用を目的として設計しています。ただし、ターゲットである採用対象者本人だけが見ているわけではありません。職員も、そのご家族も見ています。職員の親御さんにとって病院は、遠く離れたわが子が日々を過ごす場所でもあります。投稿に映る現場や研修の様子、先輩や上司との関わり、表情や雰囲気から、「頑張っている」「成長している」「活躍している」と感じてもらえているのだと思います。

もちろん、“母親”をメイン・ターゲットとして投稿を作成しているわけではありませんが、「母親の眼」はかなり意識しています。求職者の母親が見たときに、「この病院なら大丈夫」と安心して背中を押してもらえるか。職員の母親が見たときに、子どもの活躍をうれしく、誇らしく思えるか。大切な子どもをこの病院に送り出したことを、少しでも安心して受け止めてもらえるか。これは、当院のInstagramをつくる上で大切な軸のひとつです。

この実感は、若者を取り巻く変化とも無関係ではないと感じています。博報堂生活総合研究所の『若者30年変化』では、1994年と2024年の19〜22歳を比較し、若者と母親との関係が大きく変化していることが示されています。たとえば、「自分の価値観や考え方に一番影響を与えている相手」で母親を挙げた若者の割合は、1994年の21.6%から2024年には41.2%へ上昇しています。また、「自分のことを一番理解してくれている相手」でも、母親は31.6%から50.4%へ上昇しています。母親は、単なる保護者ではなく、若者にとって身近な相談相手や理解者として、その存在感を増しています。採用広報の現場で感じていることは、この調査結果とも重なります。

若者向けのSNSだからといって、ただ、投稿の雰囲気を軽くすればよいというわけではありません。本人には楽しく見えても、家族が見たときに不安になる投稿では意味がありません。逆に、派手ではなくても、職員が大切にされ、学び、成長していることが伝わる投稿には価値があります。

採用広報は、求職者本人だけに向けたものではありません。本人を支える人たちにも、病院の姿は届いています。親心を想像しながら、今日も投稿を作成しています。

町田詩織(湘南藤沢徳洲会病院マーケティング課主任)[SNS][採用広報][若者]

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