音響性聴器障害は,短時間の強大音曝露による急性音響性聴器障害(音響外傷・急性音響性難聴)と,長期の騒音曝露による慢性音響性聴器障害(職業性・非職業性騒音性難聴)に大別される。前者は一過性閾値変化にとどまるか永続性閾値変化に至るかで予後がわかれ,後者は不可逆的な感音難聴として進行する。建築業,製造業,鉱業,音楽業界など騒音曝露の機会が多い職種でリスクが高いとされる一方,ヘッドホン・イヤホンの普及に伴い,若年者の非職業性騒音性難聴も増加傾向にある。分子病態に基づく新規治療法の開発も進められているが,現時点では実用レベルとは言えず,早期治療と予防が対応の中心である。本稿では,筆者が主に外来診療で行っている対応を述べる。
▶診断のポイント
問診では,曝露音の種類・音圧・曝露時間に加え,症状出現のタイミング(曝露中か曝露後しばらくしてからか)を確認する。コンサート等で生じるいわゆるdip型(C5-dip)難聴は治癒率が高い一方,射撃音や爆発音による音響外傷でみられる高音漸傾型・高音急墜型は治癒率が低いとされ1),聴力型と発症経過から大まかな予後予測が可能である。純音聴力検査では,急性期には4000Hz付近を中心とした高音障害を認めることが多く,慢性期にはC5-dipから他周波数への拡大がみられる。両側性・対称性が原則であり,片側性を示す場合は他疾患を鑑別する。
