2020年以降減少していたマイコプラズマ肺炎は,2024年から急激な増加に転じており,地域によっては過去10年で最多の報告数となっている。軽症例が多い一方,神経症状,皮疹,溶血性貧血など肺外病変を伴うことがある。Mycoplasma pneumoniaeは主要接着因子であるP1/P2蛋白の型が約10年周期で入れ替わることが知られている。2010年代前半には マクロライド耐性化の進んだP1型が優位であったが,2010年代後半には感受性の高いP2型が主流となり,一時的にマクロライド耐性率が低下した。しかし,近年はP2型でも耐性化が進み,2024年の大阪では耐性率が60.2%と報告されている1)。流行株の変遷と耐性化が並行して進む点は,初期治療戦略に直結する重要な視点である。
▶診断のポイント
病初期は細気管支炎が主体で,CTでは気管支血管周囲の間質肥厚や小葉中心性粒状影が典型的所見である。一方,聴診では副雑音が乏しい。「画像は派手だが,聴診は静か」という乖離が本疾患の典型像である。ガイドライン2)では,鑑別に有用な6項目スコア(①60歳未満,②基礎疾患なし,または軽微,③頑固な咳,④聴診所見が乏しい,⑤迅速検査で原因菌不明,⑥白血球<1万/µL)が提示されている。5項目以上でマイコプラズマ肺炎を強く疑い,2項目以下では細菌性肺炎を疑う。3~4項目は鑑別困難域で,慎重な判断が必要となる。臨床像とスコアの併用は,過剰治療を避けつつ的確な初期治療を行うために有用である。
