正常な肝に高度の肝機能障害が急速に発生し,短期間で肝不全へと進行する。病理学的には,広汎あるいは亜広汎な肝壊死を呈し,臨床的には肝性脳症や出血傾向を特徴とする。感染症,腎不全,播種性血管内凝固(DIC)などの合併症が出現すると,内科的治療による救命率は低下する。成因別では,ウイルス性の割合は徐々に低下し,自己免疫性や薬物性の頻度が上昇している1)2)。
▶診断のポイント
わが国では2011年に,正常肝,あるいは肝予備能が正常と考えられる肝に肝障害が生じ,初発症状の出現から8週以内に高度の肝機能障害を呈して,プロトロンビン時間(PT)が40%以下ないしはPT-INR値1.5以上を示すものを「急性肝不全」と定義した3)。薬物中毒,循環不全,悪性腫瘍の肝浸潤,代謝性疾患,術後肝不全など,肝炎以外の成因も含まれる。アルコール性は含まれない。病型では,「非昏睡型」と,昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を呈する「昏睡型」に分類される。初発症状出現から8週以降24週以内に昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を発現する症例は「遅発性肝不全(late-onset hepatic failure:LOHF)」と診断し,「急性肝不全」の類縁疾患として扱われる。
