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大動脈弁狭窄症[私の治療]

登録日: 2026.10.14 最終更新日: 2026.10.14

小倉邦弘 (昭和医科大学医学部内科学講座循環器内科学部門) 新家俊郎 (昭和医科大学医学部内科学講座循環器内科学部門主任教授・診療科長)

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大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)は,大動脈弁尖の石灰化や肥厚により弁の開放が制限され,左室に慢性的な圧負荷を生じる疾患である。原因は加齢に伴う弁尖の変性が大部分を占めるが,若年では先天性の大動脈二尖弁が多い1)。左室は圧負荷に対し求心性肥大で代償するが,進行すると拡張障害や心筋線維化による左室機能障害をきたし,心不全に至る。弁狭窄は進行性であるが,その抑制に有効な薬物治療はなく,適切なタイミングでの手術介入が重要となる。

▶診断のポイント

【症状】

労作時の息切れや胸痛,失神・前失神が一般的である。無症状のこともあるが,疾患の緩徐な進行に対し,無意識に活動量を減らしている場合がある。問診では具体的な活動内容を過去と比較するなどの工夫が必要である。

【身体所見】

聴診では,第2肋間胸骨右縁を中心に頸部へ放散する収縮期駆出性雑音,Ⅱ音の奇異性分裂を認める。触診では遅脈,小脈を認める。左室機能障害により1回拍出量が低下すると収縮期雑音は小さくなるため,雑音の強弱で重症度を推測することはできない。

【検査所見】2)

心臓超音波検査は診断と重症度評価の中心となる検査である。大動脈弁の形態,石灰化などからASが疑われる場合,大動脈弁最大血流速度(Vmax)・平均圧較差(mPG)・弁口面積(AVA)を測定し,左室駆出率(LVEF)・1回拍出量係数(SVi)など血行動態を加味して, 重症度を判定する。重症ASの目安はVmax≧4.0m/秒,mPG≧40mmHg,AVA<1.0cm2とされる。

AVAと圧較差が乖離する場合,1回拍出量低下(SVi≦35mL/m2)による低流量低圧較差ASが考慮される。1回拍出量低下がLVEF低下による場合はドブタミン負荷心エコーによる再評価を,壁肥厚による左室内腔の狭小化のため1回拍出量が低下している場合はCTによる弁石灰化スコアの評価を行い,総合的に判断する。

無症候性重症ASでは,可能であれば運動負荷試験を行い,潜在的な症状や血圧反応を評価する。


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