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脊髄腫瘍[私の治療]

登録日: 2026.10.11 最終更新日: 2026.10.11

名越慈人 (慶應義塾大学医学部整形外科学教室専任講師)

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脊髄腫瘍は比較的稀な疾患であるが,MRI検査の普及に伴い,偶発的に発見される機会が増えている。主に硬膜内髄外腫瘍と髄内腫瘍に分類される。硬膜内髄外腫瘍では神経鞘腫や髄膜腫が多く,髄内腫瘍では上衣腫や星細胞腫が代表的である。
腫瘍の多くは良性で緩徐に進行する一方,脊髄や馬尾神経は狭い脊柱管内に存在するため,比較的小さな病変でも神経障害を引き起こすことがある。また,転移性脊髄腫瘍や悪性リンパ腫など,全身疾患の一部として病変を呈することもあり,局所病変としてのみでとらえない視点が重要である。
脊髄腫瘍の診療では,腫瘍を摘出することだけでなく,神経機能をいかに温存するかがきわめて重要となる。特に髄内腫瘍では,術後の日常生活機能を考慮した判断が必要となることが少なくない。

▶診断のポイント

【症状】

初発症状としては,疼痛,しびれ,歩行障害が多い。馬尾腫瘍では下肢痛や坐骨神経痛様症状が主体となり,脊髄腫瘍では手指巧緻運動障害,痙性歩行,感覚障害などを認める。安静時痛や夜間痛を伴う場合は腫瘍性病変を疑う契機となる。

髄内腫瘍では温痛覚障害が先行し,解離性感覚障害を呈することがある。また,腫瘍内出血によって急激に麻痺が悪化する症例も存在する。

【検査所見】

MRIが診断の中心となる。腫瘍の局在,脊髄圧迫の程度,造影効果,脊髄浮腫や空洞症の有無を総合的に評価する。特に硬膜内髄外腫瘍の場合,神経鞘腫では不均一な造影効果を認めるのに対し,髄膜腫は均一に造影されるため,鑑別としては重要な所見である。また,神経鞘腫では椎間孔拡大や砂時計型の進展を伴うことがあるため,CTによる骨評価も有用である。髄膜腫では石灰化や硬膜付着所見を認めることが多い。髄内腫瘍では正常脊髄との境界や脊髄腫大の程度を慎重に評価する必要がある。

悪性腫瘍が疑われる場合には,PET-CTや全身造影CTなどによる原発巣検索を行う。


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