検索

×
絞り込み:
124件
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

【識者の眼】「医療DX⑮:標準型電子カルテの行方」上野智明

登録日: 2026.09.30 最終更新日: 2026.09.30

上野智明 (日本医師会ORCA管理機構株式会社取締役副社長)

お気に入りに登録する

医療DXのこれからの進め方や新しいスケジュールが、2026年9月になって慌ただしく動きはじめました。8月31日に2027年度の概算要求の内容が公表され、9月9日には、新たに立ち上がった厚生労働省のヘルスケアAX・DX推進本部にて、国としての医療DXの進め方である「医療情報化推進方針」と「電子カルテ普及計画」が決定されました。医療情報化推進方針の対象期間は2026年10月から2030年3月までとなり、これまでの2028年3月までというスケジュールからは、少し余裕のあるものになりました。

医療情報化推進方針の大枠には大きな変更はなく、2030年末までに、電子カルテ普及率約100%、地域の拠点となる病院のサイバーセキュリティー対策100%、大病院向けクラウドネイティブ型製品の提供などが目標として挙げられています。社会保険診療報酬支払基金を改組した「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」(DX審査支払機構)が、医療情報化推進方針をふまえて中期計画や年度計画を策定し、実施することもこれまで通りです。

電子カルテ普及計画については、この冬から始まるとされている電子カルテの認証制度が工程表のトップにあります。2027年度より、認証した電子カルテ製品の普及に力をいれる模様です。標準型電子カルテについては、(導入版)のみ、2027年度から普及となっています。(導入版)以外の標準型電子カルテについては、今回の普及計画の工程表では具体的な普及時期が示されていません。概算要求のほうでも、「クラウドネイティブ型電子カルテの普及」という枠があり、標準仕様に準拠した電子カルテ製品の認証や、認証製品の普及支援が盛り込まれていて、民間の認証電子カルテを推す意向がうかがえます。「国が標準型電子カルテをつくる」というエポックメイキングな出来事に期待した先生方には、少し残念なことになりそうです。

幸いなことに、標準型電子カルテ(導入版)の普及支援にも取り組むこととされているので、紙カルテの先生も電子カルテ情報共有サービスへの対応が比較的やりやすくなると思われます。電子カルテの普及率の把握についても、調査方法が変更されるようです。具体的には、社会保険診療報酬支払基金(DX審査支払機構)が2026年6月に実施したアンケートによるものとなります。この調査に基づく2026年6月時点の普及率は、医科診療所で72.6%となります。これまでは、「医療施設調査」による2023年時点で55%という数字が使われていたので、数字の上では行政の目標である電子カルテ普及率100%に少し近づいたように見えます。

現状は、電子カルテの認証制度の根幹となる「標準仕様」の詳細が、まだ十分に見えていません。医科診療所・中小病院向けの機能要件として、①オンライン資格確認等システムへの接続、②電子処方箋管理サービスへの接続、③電子カルテ情報共有サービスへの接続、④クラウド型レセプトコンピュータとの接続、の4点が示されています。一方、バックアップやクラウドのタイプ、セキュリティなどの非機能要件については、比較的細かな内容となっています。しかし、先生方が普段触れる診療録の部分の「あるべき姿」については、まだこれからという状況です。

電子カルテの買い換えに対応する互換性の確保や、他システムとの連携方法の統一などについても、今後の改定で充実していく部分があります。これからの頑張りに期待したいと思います。

上野智明(日本医師会ORCA管理機構株式会社取締役副社長)[医療DX][医療情報化推進方針][電子カルテ普及計画]

ご意見・ご感想はこちらより


◀ 1 ▶