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クループ症候群[私の治療]

登録日: 2026.10.06 最終更新日: 2026.10.06

中川隆太郎 (国立成育医療研究センター感染症科)

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クループ症候群は,喉頭から声門下にかけての炎症や狭窄により,吸気性喘鳴,犬吠様咳嗽,嗄声をきたす疾患群の総称である。典型的にはウイルス性の急性喉頭気管炎を指すことが多い。
好発年齢は生後6カ月~3歳頃で,男児にやや多く,秋から冬にかけて多くみられる。
原因の多くはウイルス感染であり,パラインフルエンザウイルス(特に1型)が代表的である。その他,インフルエンザウイルス,RSウイルス,アデノウイルス,新型コロナウイルスなども原因となりうる1)。臨床経過としては,鼻汁,咳嗽が先行し,その後に特徴的な犬吠様咳嗽,嗄声,吸気性喘鳴が出現する。夜間に症状が悪化するのが特徴で,啼泣や興奮により気道狭窄症状が増強する。多くは軽症で自然軽快するが,陥没呼吸,安静時の吸気性喘鳴,チアノーゼ,意識障害を認める場合は重症化の徴候として注意を要する。

▶診断のポイント

まず,pediatric assessment triangle(外観・見かけ,呼吸状態,循環・皮膚色)に従って呼吸状態を評価し,気道の評価を繰り返し行う。その上で,「典型的なウイルス性クループか,緊急対応を要する重症例や他疾患か」を見きわめることが重要である。

クループ症候群の診断は,主に臨床症状と身体所見に基づいて行う。頸部X線正面像で声門下狭窄を反映したペンシルサインを認めることがあるが,診断に必須ではない。

診察の際は,患児を興奮させないことがきわめて重要である。啼泣や不安は気道狭窄を悪化させるため,診察は可能な限り保護者に患児を抱かせた状態で,短時間かつ必要最小限に行う。重症例で,採血,静脈路確保,画像検査などの心理的・身体的侵襲が必要な場合は,気道確保を最優先した上で,処置の優先順位を慎重に判断する。なお,舌圧子を用いた無理な咽頭診察は,急激な呼吸状態の増悪を誘発する危険があるため,注意する。

クループ症候群の重症度はWestley croup score2)で評価する。評価項目は,意識レベル,チアノーゼ,吸気性喘鳴,呼吸音,陥没呼吸の5項目で,それぞれを点数化し,合計点により重症度を判定する。一般的に,2点以下を軽症,3~7点を中等症,8点以上を重症と分類する。特に,安静時の吸気性喘鳴,明らかな陥没呼吸,呼吸音の減弱,チアノーゼ,意識障害を認める場合は重症度が高く,慎重な対応を要する。

鑑別疾患としては,感染症では急性喉頭蓋炎,喉頭ジフテリア,細菌性気管支炎などが挙げられる。特に重要なのは急性喉頭蓋炎との鑑別で,急性喉頭蓋炎では高熱,強い咽頭痛,流涎,嚥下困難,三脚位,著明な全身状態不良を伴うことが多い。Hibワクチンの定期接種化により非常に稀となったが,必ず鑑別疾患として考える。

非感染性疾患としては,気道異物,気管損傷,若年性喉頭乳頭腫などを考慮する。突然発症,窒息エピソード,片側性の呼吸音低下を認める場合は気道異物を疑う。特に,反復性や遷延性を認める場合や,非典型例では,構造異常等を考慮する。

上記の鑑別疾患を考える上で,病歴,症状の経過,既往歴,予防接種歴,渡航歴などの問診が重要である。


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