本稿では,強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis:AS)の診断および治療について,国際脊椎関節炎評価学会(ASAS)と欧州リウマチ学会(EULAR)によるrecommendations1)に基づき概説する。ASは,脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)のうち,体軸病変を主座とする体軸性脊椎関節炎(axial spondyloarthritis:axSpA)の代表的疾患である。axSpAは,X線で仙腸関節の構造変化を伴うradiographic axSpA(r-axSpA=AS)と,異常を認めないnon-radiographic axSpA(nr-axSpA)に分類される。多くは40歳未満で発症し,男性に多くみられる。炎症性腰痛を特徴とし,付着部炎(enthesitis)を基盤として骨新生をきたし,進行例では脊椎強直に至る2)。近年はMRIにより,早期病変の検出が可能となり,nr-axSpAを含めた早期診断・早期治療の重要性が強調されている。
▶診断のポイント
初発症状は腰痛や臀部痛であり,患者はまず整形外科を受診することが多い。そのため,整形外科医による早期診断が重要である。若年発症の慢性腰痛や炎症性腰痛に加え,長期間持続し機械的原因で説明困難な頸部痛・腰痛や,保存的治療抵抗例では本疾患を疑う。身体所見では脊椎可動域制限(Schober試験など)や胸郭拡張制限,付着部圧痛が参考となる。
診断は臨床症状・画像・検査所見を総合して行う。ASAS分類基準3)は診断の参考となる。
進行例では単純X線で仙腸関節炎を確認でき,脊椎の骨化性変化も参考となる。一方,早期例ではMRIによる骨髄浮腫の検出が診断において重要な所見になることが多い。
HLA-B27は補助的所見であり,日本人では陽性率が低く,必須ではない。陰性でも本疾患は否定できず,検査がルーチンに行われないことも多いため,臨床所見および画像所見を重視する。
また,びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:DISH)などとの鑑別も重要である。単純X線にて仙腸関節は骨盤傾斜や回旋の影響で癒合様に見えることがあるため,判断に迷う場合はCTが有用である。
本疾患はぶどう膜炎,乾癬,炎症性腸疾患を合併することがあり,これらの疾患が疑われる場合は眼科,皮膚科,消化器内科への紹介を検討する。
