クラミジアは,RNAとDNAを保有するものの,一般的な細菌とは異なり,エネルギー(ATP)の一部を宿主に依存するため人工培地(純培養系)では増殖できず,他の生物の細胞内でしか増殖できない偏性細胞内寄生性細菌である。ヒトに肺炎を引き起こすのは肺炎クラミジアとChlamydia psittaci(オウム病)で,C. trachomatisは新生児肺炎の原因となる。
初感染は小児と若年成人に最も多く,再感染は高齢者に多くみられる。人口の約半数は20歳までに肺炎クラミジアに感染し,60歳以上の成人の約80%が肺炎クラミジア抗体を保有していると推定されている。
肺炎クラミジアは上気道炎をきたすことが最も多く,気管支炎がこれにつぎ,市中肺炎の1%程度に関与する。クラミジア肺炎は,感染症法における五類感染症(定点把握対象)に定められている。オウム病は,人獣共通感染症であるなど,病態や対応が異なるため,クラミジア肺炎とは区別して扱われる(「オウム病」の稿を参照)。
▶診断のポイント
クラミジア肺炎は,ウイルス感染症やマイコプラズマ感染症との鑑別が困難である。マイコプラズマ肺炎と臨床的な特徴が類似しているが,軽症であることが多く,発熱は軽度で,咽頭痛や鼻汁などの上気道症状を認める。
クラミジア肺炎の診断は,血清診断(ペア血清による有意な上昇または単一血清での高値)が主流だったが,現在は鼻咽頭ぬぐい液や喀痰などを用いたマルチプレックスPCRなどによる遺伝子診断が活用されている。ただし,検出率は決して高いわけではなく,また,検出された場合でも肺炎クラミジアは上気道に常在しているため,結果の解釈には留意が必要である。
