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スポロトリコーシス[私の治療]

登録日: 2026.09.27 最終更新日: 2026.09.27

楠原正洋 (楠原皮膚科医院院長)

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スポロトリコーシス(sporotrichosis)は,自然界の草木や土壌に腐生的に生息するSporothrix属真菌の皮膚への感染症である。わが国での主な原因菌はかつてS. schenckiiとされていたが,分子生物学的分類の進歩により,S. globosaであることが判明した1)。
皮内へ侵入・増殖した菌により慢性肉芽腫性病変を形成する疾患であり,臨床的には不規則な鱗痂皮を伴う紅色結節やびらん・潰瘍,時に有棘細胞がん様外観を呈することがある。通常は孤立性の局面(限局型)であるが,時にリンパ行性に衛星病巣をつくることがある(リンパ管型)。また,免疫抑制患者においては重症化しやすく,皮膚のみならず内臓にも多発性の病変を形成する場合がある(播種型)。およそ外傷を契機とするため露出部の発症が多く,成人では上肢に,小児では顔面に多くみられる2)。
主に温暖な地域での発症が多く,特に関東平野部,九州の筑後地方や島原地方などでの患者数が多いため,これらの地域では常に念頭に置く必要がある。農業や園芸業の従事者に多いが,作業内容の変化から近年は自然の土壌や植物と直接接触することが減っており,1980年代をピークに発症数は減少している。

▶診断のポイント

外傷後に発症した無痛性の紅色結節や不規則な潰瘍,腫瘍性病変を診たときに本疾患を疑う。特に抗菌薬を投与しながらも創自体が治りにくいといった病歴からは強く疑う。なお,軽微な外傷は記憶にないこともあり,外傷の既往は必須ではない。

診断確定には生検組織による真菌培養での菌の検出が必須となる。サブローブドウ糖寒天培地27℃培養で比較的早くコロニーが形成されるが,36℃以上の高温での培養は発育が妨げられるので避けるべきである。褐色調のコロニーの色や,スライドカルチャーでの小分生子の性状から形態学的にSporothrix属を同定することは可能だが,詳しい菌種の判別には分子生物学的検査が必要である。

病理組織学的検査では,表皮の偽がん性増殖と,真皮・皮下の好中球,リンパ球,多核巨細胞からなる肉芽腫性変化が観察される。組織内菌要素はPAS染色,グロコット染色,ファンギフローラYⓇ蛍光染色などを用いて確認するが,菌数が少ないため,連続切片で注意深く観察する必要がある。


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