転移性肺腫瘍は,主に血行性,リンパ行性に他の原発巣から肺に転移した腫瘍である。原発巣が明らかでなく,肺の転移巣の病理組織学的診断により原疾患が診断されることもある。全身の画像診断とともに病理組織学的検査を行い,確定診断に努める。気管支鏡下の腫瘍生検・リンパ節穿刺や,CTガイド下や超音波(US)ガイド下の生検,手術での生検などにより,検体を採取する。原発巣の性質を持って転移しているため,原疾患に準じた全身治療(化学療法)が行われることが多いが,切除や放射線治療などの局所療法による予後延長が報告されている腫瘍では,外科的切除などが行われる。
原発巣は,大腸癌,乳癌,子宮癌,卵巣癌,前立腺癌,腎癌,膀胱癌,骨軟部腫瘍,頭頸部癌(甲状腺癌を含む),胃・食道癌,肝癌,膵癌,悪性リンパ腫,肺癌,など多岐にわたる。術後再発で原発巣は認められず,肺転移のみを認めることもある。乳癌や甲状腺癌などでは,原発性腫瘍の治療から10年以上経過した後に肺転移を認めることがあり,既往歴を参考にする。
▶診断のポイント
喀痰細胞診は,陽性率は低いものの診断につながることがあり,低侵襲で簡便であるため,喀痰があれば実施する。病変部位・到達可能性などを考慮し,気管支鏡下やCTガイド下,USガイド下の生検などを行い,病理組織学的確定診断を行う。全身の臓器転移の検索を含め,画像診断(全身造影CT,FDG-PET/CT,脳MRIなど)を行い,病期を判定する。原発巣の検索のために,消化管内視鏡,腹部US,婦人科US・診察,泌尿器系US・診察,甲状腺US,乳房USなどを必要に応じて行う。特異的な腫瘍マーカー(前立腺癌でのPSAなど)は診断の補助となる。リンパ腫の可能性があれば,血液内科と相談の上,細胞表面マーカーの検索を行う。
