耐性菌対策のため,抗菌薬の適正使用が呼びかけられています。しかし,現在は抗菌薬の供給が不安定となっており,使いたい抗菌薬が使えないという現状にあります。
抗菌薬の適正使用と不安定供給で使用したい抗菌薬が使えないときの次の一手について,感染症コンサルタントのSapporo Medical Academy・岸田直樹先生にご解説をお願いします。
【質問者】
中山久仁子 マイファミリークリニック蒲郡院長
【回答】
【感染症病名ごとのセカンド・サードチョイスが重要! 病態次第では,“抗菌薬なし”も】
抗菌薬の供給がきわめて不安定な状況が続いています。2019年にセファゾリンの供給停止で,その影響の大きさを肌で実感しましたが,この1年は特に,内服抗菌薬の供給不足が深刻です。「どう対応したらよいでしょうか?」と,特に,薬剤師の苦悩の叫びが日々私のところに届きます。コンサルト病院では,在庫の確認は日々のルーチンとなっています。この不安定供給の中,抗菌薬適正使用も実行せよ,と世界は求めています。薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)アクションプラン推進を目的とした抗菌薬適正使用体制加算をとるためにも実行しなければいけません。「モノがないのに適正使用などできるのでしょうか?」,そんな現場の声もよく聞きます。難問ではあるものの,これは抗菌薬の考え方(慣性のドグマ)を見直すチャンスです。
このような中でみられるのが,「〇〇はありませんが△△ならあります」という「薬に対する別の薬」というやりとりです。これは,とてももったいないことです。“どの感染症で困っているか?”のロジックの視点(背景・臓器・微生物)と,その感染症でのセカンド・サードチョイスの提示が重要です。特に感染症では重症度が薬の選択に影響し,その病態把握の臨床推論力が試されます。実は,不安定供給でも,抗菌薬適正使用の介入のチャンスはたくさんあるのです。適正使用というと抗菌スペクトラム(Narrow is beautiful!)にばかり目が行きがちですが,投与量・投与間隔(PK/PD),投与期間(Shorter is better!),値段(新薬は高価な“Me-too”drugs),投与方法〔Oral is the new IV(intravenous injection)!〕もです。
