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【識者の眼】「骨太方針2026から見る医療の今後」小野 剛

登録日: 2026.09.17 最終更新日: 2026.09.17

小野 剛 (横手市病院事業管理者、全国国民健康保険診療施設協議会名誉会長)

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経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太方針2026)が2026年7月に閣議決定され、公表された。骨太方針に書かれた内容は、次年度以降の予算編成や制度改革に直接影響を及ぼすことが多く、今後の医療の方向性を検討する上で重要な方針である。

骨太方針は幅広い分野にわたるが、その中でも医療分野に注目すると、2026年はDXのほかにAIトランスフォーメーション(AX)が併記された。今後はAIやロボティクスを活用した医療の質向上と生産性向上が求められる時代になると考える。医療界では、AI活用はまだ十分とは言えず、AIを活用できる人材も不足しているというのが現状であり、AI活用の推進や人材育成に早急に取り組む必要がある。また、医療の担い手不足が予測される地方の医療機関では、AIやロボティクスが人材不足を補完する有用なツールになりうると考えられ、早急な対応が必要と考える。

骨太方針2026では、医療提供体制に関連して、「病床数の適正化を着実に実施した上で、2027年度以降の地域医療構想を踏まえた医療機関の連携・再編・集約化を促進する」と記載された。2025年度補正予算による「病床数適正化緊急支援事業」などの活用もあり、病床数の適正化が進められている。今後は、病床機能のうち急性期と包括期など、それぞれの役割分担をさらに進めることが課題のひとつと考える。また、今後は医療機関機能報告(急性期拠点機能、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、専門等機能)をもとに、連携・再編・集約化を検討することになると思われるが、地域医療を「病院完結」ではなく、「地域完結」の視点から議論し、調整することが必要と考える。

さらに、骨太方針2026には、「新たな地域医療構想の下、将来需要を踏まえ、老朽化・災害対策を含む地域に不可欠な施設・設備の計画的な整備への必要な支援の在り方を検討する」とも記載された。1985年以前に建てられた病棟がある病院は、全国で1568病院に上る。これらは築40年以上で老朽化が進む病院であり、安全性も含め多くの支障を抱えていることが予測される。

昨今、建築費も高騰し、1m2当たりの建設単価は10年前の1.6倍にもなっていることが示されている。厚生労働省では、2025年度補正予算でも新築や増改築の資材費の補助金を計上したが、今後も地域医療構想の実現に向けて、役割分担や集約化を推進するために必要な医療機関の建て替えや施設整備に対し、有効な支援をお願いしたい。

骨太方針2026には、他にもまだまだ多くの取り組みの方向性が記載されている。地域医療に取り組む各医療機関は、こうした国の方針もふまえて、今後の立ち位置や方向性を決める必要がある。

小野 剛(横手市病院事業管理者、全国国民健康保険診療施設協議会名誉会長)[骨太方針2026][地域医療構想

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