ヒトの視力は乳幼児期から学童期にかけて発達していくが,この視覚の発達期に屈折異常,斜視,視性刺激の遮断などによって視力発達が損なわれた状態を弱視と言う。原因に応じて,①屈折異常弱視(強い屈折異常を持つ弱視),②不同視弱視(左右の屈折値に差がある弱視),③斜視弱視・微小角斜視弱視(斜視と同時に起こる弱視),④形態覚遮断弱視(器質的疾患や片眼遮閉などの形態覚の遮断によって起こる弱視)に分類される。屈折矯正を行っても年齢相応の視力に達しない状態だが,10歳未満では弱視治療の効果が得られることが多く,時には10歳代でも治療により改善できる場合がある。しかし,治療開始年齢が高くなればなるほど治療効果が低下するため,早期発見および治療が予後にとって重要となる。
▶診断のポイント
【症状】
小児は自覚症状をほとんど訴えないため,他覚的な症状 (目を細めて見る,ものに近づいて見る,斜視がある,極端にまぶしがる,瞳孔が白く光るなど)が発見につながることが多い。また,健診における視力検査や屈折検査のスクリーニングも発見に有用である。
【検査】
通常のランドルト環を用いた視力検査は3歳前後でできるようになることが多いが,発達の程度によってはできない場合もある。発達の程度に応じて,嫌悪反射 (健眼を遮閉すると嫌がり,弱視眼を遮閉すると嫌がらない),他覚的な視力検査 (Teller acuity cardTM, Cardiff acuity cardTM)や森実式ドットカードによる近見視力検査,動物の形を用いた絵視標も有用となる。機嫌や性格によって一度では十分な検査が行えない場合もあるため,器質的疾患がなければ視力検査を複数回行って同等の値となるかどうかを確認する。
また,小児では調節介入により過小評価されやすいため,正確な屈折の測定には調節麻痺を行う必要がある。シクロペントラート点眼 (両眼に5分おきに2回点眼し,45分後に屈折検査を行う)やアトロピン点眼 (両眼に1日2回,5日間点眼を行ってから検査を行う)を検査前に行うことで,隠れた遠視や仮性近視などの診断が可能となる。ほかにも,斜視の有無の診断を目的とする眼位検査や,器質的疾患を診断するための前眼部・眼底検査も必須となる。
