医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-associated pneumonia:NHCAP)は,病院外で発症する肺炎のうち,①療養病床に入院または介護施設に入所,②90日以内の入院歴,③介護を必要とする高齢者・身体障害者,④通院で継続的に血管内治療(透析,抗菌薬,化学療法,免疫抑制薬など)を受けている,のいずれかを満たす肺炎と定義される1)。市中肺炎(community-acquired pneumonia:CAP)と比較し,高齢で基礎疾患を有しADLが低下した症例が多く,誤嚥の関与が目立つ。耐性菌の検出率が高く,予後も不良である。一方で,米国ではhealthcare-associated pneumoniaの分類が,耐性菌リスクを十分に識別できず,広域抗菌薬の不適切使用につながるとして廃止された。NHCAPはわが国独自の概念だが,その定義のみで耐性菌リスクを評価するには,米国での判断と同様に限界があり,その位置づけについて議論が続いている。
▶診断のポイント
発熱や呼吸器症状などの臨床所見と胸部画像所見をもとに診断するが,高齢者は症状に乏しいことがある。
抗菌薬開始前に喀痰検査(塗抹・培養)を提出し,必要に応じて尿中抗原検査も実施する。重症例,広域抗菌薬使用例,菌血症を疑う症例では,血液培養2セットも採取する。
国内の多施設共同研究において,検出菌は肺炎球菌が最多(12.7%)で,ついで大腸菌(12.3%),インフルエンザ菌(12.0%),肺炎桿菌(11.4%),緑膿菌(10.8%), メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)(7.4%)であった2)。
