錠剤が大きくて飲みにくい、半量にしたい、といった場面では、錠剤を半分に割ることを検討すると思います。しかし、錠剤の中には「徐放錠」や「腸溶錠」といった、有効成分が放出される速度や場所を調節するよう設計されたものもあり、こうした錠剤を不用意に分割すると、その機能を損ない、薬の有効性・安全性に支障をきたす恐れがあります。そのため、分割をする前に、本当に半分に割っても大丈夫な錠剤かどうかを確認する必要があります。
このとき、1つの目安になるのが、錠剤の中央に分割のための「割線」があるかどうか、という点です。「割線」がある錠剤は、基本的にこの線に沿った分割が想定されているためです。たとえば、『ムコダインⓇ錠500mg』には「割線」があり、半分に分割して服用することができます。他にも『ペンタサⓇ錠』は、放出調節製剤でありながら、例外的に「二分割して服用可能」とされており、「割線」もあります。
このように、「割線があれば分割を検討できる」「割線がなければ分割できないことが多い」というのが重要な判断の目安になるのですが、中には例外があることにも注意が必要です。たとえば、『テオドールⓇ錠』は、『ペンタサⓇ錠』と同じく「割線」入りの徐放錠ですが、2026年6月に添付文書が改訂され、「本剤を分割・粉砕しないこと。1錠とその1/2錠で溶出挙動の同等性は示されていない」との注意が明記されています。また、『フルイトランⓇ錠』のように、「割線」のように見える線が「割線」ではなく、「割線様形状」とされているケースもあります1)。
「割線」の有無は、添付文書の「製剤の性状」の項目などで確認できますが、「割線」があるかどうかだけで、分割の可否を一律に判断することはできません。分割できるかどうかの判断に迷う場合は、ぜひ薬剤師にも相談して頂ければと思います。
【文献】
1) 田中秀和, 他:医薬品情報. 2017;19(3):111-20.
児島悠史(薬剤師/Fizz-DI代表)[薬剤師][割線][錠剤の分割]