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成人成長ホルモン分泌不全症[私の治療]

登録日: 2026.09.12 最終更新日: 2026.09.12

福田いずみ (日本医科大学大学院医学研究科内分泌代謝・腎臓内科学分野教授)

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成人成長ホルモン(growth hormone:GH)分泌不全症は,成人期のGH欠乏によって生じる疾患である。原因は,視床下部・下垂体領域の腫瘍(下垂体腫瘍,頭蓋咽頭腫,胚細胞腫瘍)とその治療歴(手術や放射線照射),下垂体前葉炎,シーハン症候群,周産期(出生時)における間脳下垂体領域の傷害など,多岐にわたる。日本内分泌学会によれば,成人GH分泌不全症の日本における患者総数は約3万6000人,1年当たりの新規患者数は約1140人と推測されている1)。症状として体組成の異常,脂質異常症,脂肪肝などを認め,重症のGH欠乏が長期にわたり継続すると心血管系合併症による死亡リスクが高まることが知られている2)

▶診断のポイント

頭蓋内器質性疾患の合併ないし既往歴,治療歴または周産期異常の既往がある場合や,臨床症状からGH欠乏が疑われるケースが主たる精査対象となる。GH欠乏症状として,易疲労感,スタミナや気力の低下,皮膚の乾燥,体毛の柔軟化,quality of lifeの低下などを認める。内臓脂肪の増加と除脂肪体重の低下,筋肉量や骨塩量の減少などの体組成変化がみられ,検査所見では脂質異常症(高LDLコレステロール血症,低HDLコレステロール血症,高中性脂肪血症),肝障害〔代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease:MASLD)〕などが認められる。

診断にはGH分泌刺激試験(インスリン低血糖刺激試験,アルギニン負荷試験,グルカゴン負荷試験,GHRP-2負荷試験)を行い,前3種の試験ではGHの反応性頂値が3ng/mL以下の場合を成人GH分泌不全症とする。このうちGH頂値が1.8ng/mL以下の場合を重症成人GH分泌不全症,それ以外を中等度と分類する。GHRP-2負荷試験ではGHの反応性頂値が9ng/mL以下の場合を重症成人GH分泌不全症とする。

GHを含めて複数の下垂体ホルモンの分泌低下がある場合は1種類のGH分泌刺激試験の結果が基準を満たせば本症と診断されるが,これ以外では2種類以上のGH分泌刺激試験を施行し,いずれも診断基準を満たすことを確認する。

血中IGF-Ⅰ値は低値となることが多いが,基準値内(low-normal)のこともある。本症ではGH以外に他の下垂体ホルモンの分泌不全も合併することがあるため,それらの分泌に関しても評価を行う。


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