周期性四肢麻痺(periodic paralysis:PP)とは,発作性,間欠的に四肢や体幹の筋群に脱力と弛緩性麻痺を繰り返す疾患であり,血清カリウム(K)値の電解質異常を伴う。PPは病因により分類され,遺伝性(家族性)PPは遺伝子異常によるチャネロパチーであり,常染色体顕性遺伝の形式をとる1)。遺伝性低カリウム性PPは骨格筋型Caチャネル遺伝子CACNA1Sの異常が原因であり,20歳未満の男性に発症する。麻痺は数時間から1日程度持続し,特に糖質やナトリウム(Na)の大量摂取後や長時間にわたる運動後の安静(運動翌日の朝)により誘発されやすい。また,骨格筋型Naチャネル遺伝子SCN4Aの異常も原因となり,10歳までに発症し,麻痺は1時間程度と短い。激しい運動後の休息や寒冷によって誘発され,麻痺は通常1時間以内に回復する。SCN4Aの異常はミオトニー症候群の原因でもあり,舌や母指球筋のミオトニー現象を伴う場合がある。さらに,Andersen-Tawil症候群では骨格奇形にQT延長と心室性不整脈を伴う。
一方,症候性PPには多彩な原因疾患が含まれるが,わが国では,男性では甲状腺機能亢進症に合併したPPが,女性では原発性アルドステロン症によるPPが多い。
▶診断のポイント
PPの持続時間は数時間から3日以内で,自然に回復することが特徴であり,適切な問診が最も重要である。脱力は限局している場合と全身に及ぶ場合があり,近位筋に始まり遠位筋に及ぶ場合が多い。ただし,構音障害や嚥下障害,呼吸筋麻痺をきたすことは稀である。発作中には筋力低下に加えて深部腱反射も消失している。病初期には非発作時の筋力は回復し正常であるが,経過とともに周期性の筋力低下ではなく,近位筋の脱力が常に認められるようになる可能性がある。
PPの原因は多彩であり,病型診断が治療方針の決定においては重要である。突然発症で,脱力が左右対称性の四肢麻痺を呈すること,過去に同じエピソードを繰り返していることなどを問診で確認する。検査については,Kを含む血清電解質,血清クレアチンキナーゼ,腎機能,甲状腺機能,血清アルドステロン値など採血は必須である。また,電解質異常をきたす薬剤内服歴の確認も行う。遺伝性PPであっても,家族内発症が確認できない場合もある。
