気管支拡張症は,慢性かつ進行性の好中球性炎症を主体とする炎症性気道疾患であり,慢性の咳嗽・喀痰を呈する。その主病態は①慢性気道炎症,②慢性気道感染,③粘液線毛クリアランス障害,④気道・肺実質の破壊が相互に関連し,悪循環・渦を形成することで進展する1)。気管支拡張症例はわが国でも経年的に増えており,2021年では10万人当たり86人程度,特に中高年の女性では10万人当たり200~500人とされる。気管支拡張症は特発性や原発性線毛機能不全症などのほか,非結核性抗酸菌症,喘息,慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患や関節リウマチ,炎症性腸疾患などの全身性疾患を背景として発症しうる。
▶診断のポイント
胸部CT画像で①気管支の内径または外径と,伴走する肺動脈径の比が1以上,②気管支の先細りがない,③胸膜から1cm以内に気道が確認される,のいずれかがある場合,気管支拡張像ありと判断する。胸部CT上の気管支拡張像と慢性湿性咳嗽などの症状があれば,気管支拡張症と診断される。また,想定される背景疾患について,以下の問診や検査を追加する。
【問診】
家族歴,幼少期の肺炎や慢性鼻副鼻腔炎歴,不妊歴(原発性線毛機能不全症を疑う),関節痛や口渇の有無など。
【検査】
鼻副鼻腔CT,抗酸菌・真菌を含めた喀痰培養・細胞診,血液像,炎症像,血清免疫グロブリン,リウマチ因子,抗MAC抗体,抗CCP抗体,抗SS-A抗体・抗SS-B抗体,抗核抗体,抗好中球細胞質抗体(ANCA),総IgE値,アスペルギルス特異的IgE・IgG抗体,HTLV-1抗体など。呼吸機能検査も必要である。
