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【識者の眼】「医療DX⑭:支払基金と厚生労働省のDXにむけた組織改編について」上野智明

登録日: 2026.09.02 最終更新日: 2026.09.02

上野智明 (日本医師会ORCA管理機構株式会社取締役副社長)

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「社会保険診療報酬支払基金」(以下、「支払基金」)は、2026年10月に「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」(以下、「DX審査支払機構」)へ改組されます。一方、厚生労働省もこの8月に「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームを改組し、上野厚生労働大臣を本部長とする「ヘルスケアAX・DX推進本部」を設置、部局横断体制で司令塔の役割を担うこととなりました。

支払基金は、従来の審査支払機能に加え、医療DXに関するシステムの開発・運用を担う実施主体として抜本的に改組されることとなりました。医療DXの基盤となるオンライン資格確認等システムの開発・運用で培った経験やノウハウの活用が期待されています。

これに伴い、これまで本連載で紹介してきた「全国医療情報プラットフォーム」の構築や「電子カルテ情報の標準化」「診療報酬改定DX」などは、この秋から改組されるDX審査支払機構がシステムの開発・運用を担うこととなります。レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)やデータヘルス関連の業務も、その対象に含まれることとなります。ガバナンスについては、現行の「理事会」に代えて、新たな意志決定機関として「運営会議」が置かれ、さらに、「医療情報化推進担当理事(CIO)」が設けられることとなりました。

厚生労働省の改組では、「AX」という新しい単語が気になります。これは、AIを前提として、意志決定や業務の進め方を根底から見直す、という意味で、この7月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、DXと一体的に推進される取り組みです。この中で医療関連の内容を「ヘルスケアAX」と名づけ、厚生労働省の新たな推進本部でAIの利活用とDXを戦略的・総合的に推進する、とされています。

国の展望では、AIを単なる診断支援ツールとして導入するだけではなく、その先を見据えているようです。予防、診断、治療、服薬、介護、リハビリ、在宅支援、事務、経営、創薬、臨床研究までを含むヘルスケア全体の業務フローを、現場知・専門知を取り込み、AIの積極的な利活用を前提に再設計する必要がある、とされています。

これまでは「デジタル化の波に乗らないと」とされてきた状況が、ここにきて加速度を増し、怒濤のように進んでいるように感じます。個人的には、AIは最終的に「老若男女誰でも日常的に使える」ようになるでしょうから、今は過渡期だと思います。その実現のための研究等は大いに推奨すべきですが、現場での適用に落とし込むときは、地域医療を支える高齢の医師が多くおられることをふまえ、医師の世代交代のスピードをあまり超えることのないスケジュールとする我慢も必要だと思います。

上野智明(日本医師会ORCA管理機構株式会社取締役副社長)[医療DX][支払基金DX審査支払機構

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