突発性難聴は72時間以内に生じる原因不明の急性感音難聴であり,エビデンスの高い治療法は確立されていない。病態はいまだ解明されておらず,循環障害,ウイルス感染,自己免疫機序などが原因として推定されている。診断は除外診断であり,発症2週間以内の早期診断および治療開始が望ましい。めまいの随伴,脂質異常症や心疾患の既往,65歳以上の高齢者,治療開始の遅れは予後不良因子とされている。基本的には再発はしないとされ,再発が疑われた場合にはメニエール病などの他疾患を考慮する。
▶診断のポイント
男女差は明らかではないが,60歳代をピークとして高齢者に多い。診断は,誘因の有無の問診(強大音,急激な圧変化,耳毒性薬剤などへの曝露,近親者のムンプス罹患者など),顕微鏡下の鼓膜観察,標準純音聴力検査,他覚的聴力検査〔耳音響放射(otoacoustic emission:OAE)など〕を基本とし,隣り合う3周波数で30dB以上の一側性感音難聴の有無を確認する。低音域に限局する場合は,急性低音障害型感音難聴やメニエール病との鑑別が重要である。MRIにより0.8~3.7%に聴神経腫瘍などの後迷路性難聴の原因となる疾患が検出されるとの報告があり1),器質的疾患の除外を目的に画像検査が推奨される。治療抵抗例では,上半規管裂隙症候群の鑑別のため,側頭骨CTも考慮する。
